OP戦10打席無安打も…イチローの四球に見えた意図、結果を求める段階へ
第3打席の四球に確かな意図「変化球待ちの真っ直ぐ対応」
マリナーズのイチローは7日(日本時間8日)、敵地でのレッズ戦に「6番・左翼」でスタメン出場も2打数無安打1四球。1日のブルワーズ戦第1打席でヒットを放ってから、今オープン戦自己最長となる10打席無安打となった。
ただ、実戦勘は着実に本来に近づいているようだ。この日、唯一出塁(代走で交代)を果たした第3打席の四球。カウント3-2からの6球目、外角低めの94マイル(約151キロ)の速球に出しかけたバットを止めたが、この動きが意図のあるものと明かした。
「真っ直ぐ待ちの変化球じゃなくて、変化球待ちの真っ直ぐ対応というところに入っていく段階ですね」
直球と変化球の球速の差を利用して体の反応を呼び覚ますことを指している。「速い球」を待っていて「遅い球」が来ても、打者は対応できる。しかし、逆となれば、体の反応はどうしても遅れる。イチローは追い込まれたカウントで、反応の難しい後者に意識を置いて見事バットを止めている。
思えば、キャンプイン3日目の2月18日、イチローは実戦形式の打撃練習で「直球待ちの変化球」を実践していた。3月20、21日に東京で開催される開幕シリーズの開幕投手と目される左腕マルコ・ゴンザレスとの対戦で、直球の後に来た低めのスライダーに出しかけたバットを止めている。あの時、イチローは「Good take!(よく球を見た!)と自賛の声を上げた。
菊池の窮地を救った守備にも、着実に進む調整具合が表れていた。オープン戦3度目の先発を果たした菊池が3回、4番プイグに左翼線に運ばれる二塁打を許し5番ジェネットと対決。2ボールからの3球目、外寄り高めの速球を捉えた打球がイチローを襲う。半身で追ったイチローは球際でグラブを伸ばして好捕。猛追の勢いで最後、ネットに体をぶつけた。
打球の行方をマウンドから追った菊池が「抜けたかなと思った」と振り返るほどの飛距離が出た当たりは、目線を定めづらい頭上へ上がったもの。さらに、照明数の少なさから、大リーグの球場と比べて薄暗いキャンプ地での初ナイターの難しさが重なった。しかし、見失うことなく絶妙なタイミングで体を反転させてグラブに収めた。フリー打撃練習の球拾いで見せるいくつもの場面を想定した動きが、実戦で実を結んだ。
「攻」と「守」でギアを上げたイチロー。結果を求める段階に入ってきた。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)