イチロー、粋な演出で途中交代 抱擁した同僚も感激「感情がこみ上げた」
同僚は背番号51とのプレーに誇り「子供にイチロー・スズキとプレーしたと言える」
■マリナーズ 9-7 アスレチックス(20日・東京ドーム)
マリナーズのイチロー外野手は20日、東京ドームで行われた「2019 MGM MLB日本開幕戦」に「9番・右翼」で出場し、4回の守備から途中交代した。攻撃終了後、いったん右翼の守備位置に就いてから交代を告げられたイチローは、三塁線付近で待ち構えた同僚の内野手4人とハグを交わした。一塁手のジェイ・ブルースは試合後、「感情がこみ上げた」とこの場面を振り返っている。
322日ぶりに公式戦に出場したイチローは、1打数無安打1四球とヒットを打つことはできず。4回は四球を選び、二塁まで進んだものの生還はならなかった。
直後の守備、右翼の守備位置に就くと、スコット・サービス監督が審判に交代を告げた。ライトから走って戻ってきたイチローは、三塁線付近で待ち構えた4人の内野手と抱擁。スタンディングオベーションの中、さらにサービス監督らとも抱擁し、ダグアウト内でも同僚と握手&ハグを繰り返した。
イチローを待っていた一塁手のブルースは「感情がこみ上げたよ」と抱擁した瞬間を回顧。マリナーズでプレーするのは今季からだが、「イチローは最も人気のある日本人だ。日本とアメリカで、とてもとても尊敬されている。彼とプレーできて、僕はとてもとても幸運だよ。子供にイチロー・スズキとプレーしたと言えるんだ。それは僕にとってとても特別なことだ」と敬意を示した。
普段とは異なる雰囲気の中で行われてる開幕戦。ただ、ブルースは「彼にとってもとても特別なことだし、マリナーズにとっても、この国にとってもだ」と話す。そして、「彼がメジャーリーグでプレーしていることにただ感謝している。僕は明日何が起こるか知らないよ。日本のファンが彼に感謝する機会があってほしい」と続けた。
また、二塁手のディー・ゴードンも“師”と仰ぐイチローと開幕戦でプレーしたことについて「素晴らしい気分だった」と振り返り、遊撃のティム・ベッカムは「この春、イチローとプレーした試合は全て特別だった。彼は球界最高の選手の1人だ」と話した。サービス監督は21日もイチローを出場させることを明言しているが、マリナーズの選手として日本でプレーするのは最後になる可能性が高いだけに、東京ドームはさらに特別な雰囲気に包まれることになる。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)