最終目標の3連覇へ―ソフトバンクの首位独走を支える工藤監督の“みる”目

バンデン抹消と長谷川スタメン落ちは、シーズンを戦うための先を“見る目”

 日本生命セ・パ交流戦で2年連続勝率1位に輝き、2位ロッテに7.5ゲーム差をつけて首位を独走するソフトバンク。その強さを支えているのは、就任2年目を迎えた工藤公康監督の様々な“みる”目、“みる”力だ。

 工藤監督が昨シーズンから常に口にしているのは「目の前のカードをいかに勝ち越すか」ということ。しかし、それは単なる短期目標でしかない。最終的な目標はもちろんリーグ3連覇、そして3年連続の日本一だ。その最終目標を達成するために、指揮官は先を“見る目”を駆使して、チームを引っ張っている。

 その1つの例がバンデンハークの抹消だ。昨年6月のデビューから負けなしの14連勝を記録した右腕は、5月17日の日本ハム戦で来日初黒星を喫した。その後の2試合の状況を見た工藤監督はバンデンハークと対話の時間を持ち「疲労が溜まっているようだ。まずは疲れを取ることが大事」と、6月1日に登録を抹消した。

 しかも、「本人が大丈夫だと思えるまでは(1軍に)上げない」と、結局、バンデンハーク不在のまま交流戦を戦い抜いた。大事な戦力だからこそ万全に整えさせる。それも工藤監督の先を見越した管理術だ。

 また、交流戦ビジターゲームの全試合で、工藤監督は長谷川勇也をスタメンから外した。一昨年に右足を負傷した長谷川に対し、守備での負担をかけないためだ。同じ外野手で左打者の中村晃がスランプに陥っても、「交流戦でシーズンが終わるわけじゃないからね」と交流戦後のリーグ戦再開を見越して長谷川に無理をさせなかった。

 目の前のカードに勝ち越すことだけを考えるなら、バンデンハークの抹消も長谷川の代打待機もなかったかもしれない。それでも交流戦勝率1位を勝ち取るだけの選手層があるからと言ってしまえばそれまでだが、「シーズン(の結果)はトータルでの話だから」と、目の前の勝負を大事にしながらも常に先を見据える工藤采配が、ここからの戦いにきっと生きてくるはずだ。

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