ロッテの誤算、唐川侑己の大不振 今季2勝目で見えた復活の兆し

54日ぶりの勝利で見えたピッチングの改善点とは

 千葉ロッテの唐川侑己が、24日に7回6安打無失点の好投で、54日ぶりとなる今季2勝目を手にした。

 昨年チームトップの9勝を挙げ唯一の規定投球回に到達、ここ3シーズンで29勝をマークしている右腕は、今季ここまで2勝8敗と苦しんでいる。4月の楽天戦と8月のオリックス戦では、不本意な中継ぎ登板も味わった。

 しかし24日のソフトバンク戦では、見違えるような投球を披露。唐川のピッチングは、何が変わったのか。スポーツコメンテーターの飯田哲也氏はこう分析する。

「唐川が24日のソフトバンク戦で投げた試合を見ましたが、これまでよりも明らかに真っ直ぐが走り、しっかりコースに決まっていました。結果的に、速球が走ったことで変化球も生きるようになり、打者との駆け引きにも勝てるようになったと思います」

 唐川はもともと、150キロ近いストレートとスライダーを中心にピッチングを組み立てる投手だ。スローカーブも投げるが、得意のスライダーを生かすためにも、やはり生命線はストレートのキレになる。飯田氏はピッチングの変化についてこう話す。

クライマックスシリーズ進出には唐川の復活が不可欠

「今季は何度か唐川のピッチングを見ていますが、悪いときは変化球でかわそう、という意識が強すぎたように見えました。唐川はそこまで真っ直ぐで押し切るタイプではありませんが、スライダーやカーブを生かすためにも、真っ直ぐの威力が必要になります。この試合では、その真っ直ぐが思い通りに投げられたと思いますし、それが好投に繋がったのでしょう」

 今季のロッテは、成瀬善久、石川歩、古谷拓哉がそれぞれ7勝を挙げているが、エース成瀬は8敗を喫するなど、決してローテーションが盤石とは言えない。飯田氏は続ける。

「今季のロッテは先発投手陣があまり良い結果を残せていませんし、唐川には復活してもらわないと。8月末でまだ2勝ですからね。ただ、ソフトバンク戦の投球は、今後に期待を持たせるものでした。もちろん1回だけでは何とも言えませんが、それくらいポジティブな投球だったと思いますし、強力なソフトバンク打線を抑えたことも自信になったと思います。今後も真っ直ぐが生命線なのは変わりませんし、この試合のピッチングを忘れずにいれば、今後に生かせる内容だと思います」

 現在4位に位置するロッテと、3位日本ハムとのゲーム差は6(26日現在)。残り試合も30を切ってクライマックスシリーズ進出へも黄信号が灯っているが、昨年の勝ち頭が復活すれば、チームは勢いに乗ることが出来るだろう。

【了】

飯田哲也プロフィール

スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
飯田哲也オフィシャルブログ

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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