【U-18アジア選手権】決勝打はイメトレの賜物 日本を頂点へと導いたMVP納の心理
前日に1番打者から降格「すごく悔しかったです」と奮起の決勝打
三塁側に陣取る日本代表ベンチと応援団に、重くのしかかる雰囲気が一気に晴れた。第11回BFA U-18アジア選手権の決勝戦。チャイニーズ・タイペイと戦う日本は、再三得点チャンスを作るが1点が奪えず。自慢の守備にもミスが目立ち始めた6回裏の攻撃。相手の2四球をきっかけに、日本に2死一、三塁のチャンスが巡ってきた。打席に立つのは8番・納大地(智辯学園)。力一杯振り抜いた打球が一二塁間を破るライト前ヒットとなると、三塁走者の林中勇輝(敦賀気比)がホームイン。0-0の均衡が破られた。
あわよくば二塁を目指そうと一塁ベースをオーバーランした納は、相手野手が捕球するのを見て一塁で停止しようと判断。クシャクシャの笑顔で歓喜に沸くベンチに目を向けると、全身からあふれる喜びを抑えきれずに、大きくジャンピング・ガッツポーズを決めた。
今大会は初戦から1番打者を任された。「選抜から出塁率がすごく高かった」という小枝守監督の期待を受け、1戦目の香港戦は3安打4打点の大活躍。その後も攻撃の起点となったが、セミファイナル2戦目の韓国戦からリードオフマンには松尾大河(秀岳館)が起用され、納は下位打線を打つことになった。指揮官は「松尾君の気持ちの強さを生かしたかった。納君には打順を下げて自由度の高い打撃をして欲しかった」と打順変更の理由を明かしたが、納自身は「すごく悔しかったです」と振り返る。
だが、そこで腐らないのが納の持ち味。「反骨精神じゃないですけど、自分が何とかしたいと思っていました」と打順降格を前向きに捉え、決勝戦という大舞台で虎の子の1点を叩き出した。この1点が決勝点となり、日本は2大会ぶり5度目のアジア王者に君臨。見事、納も大会MVPを手に入れた。