大谷翔平を支える「鬼のメンタル」とは? 左膝手術決断後も「まだまだうまくなれる」
2月から悩まされた左膝手術決断後に自己最速184キロ弾「何かいいものを見つけて来シーズンに入りたい」
13日に左膝の分裂膝蓋骨の手術を受けたエンゼルス・大谷翔平投手は24日(日本時間25日)、本拠地のアスレチックス戦前に会見。術後の経過や昨年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた影響で打者に専念した今季を振り返り、来季の二刀流復活へ強い意欲を示した。
どこかスッキリした表情だった。大谷は巨大な黒のギブスで固定した左足を引きずるようにして会場へ現れた。昨年10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、今度は2月から痛みに悩まされてきた左膝を手術。来季にかける思いが言葉の端々ににじみ出た。
「順調だと思います。来年に間に合うか間に合わないかという感じではない。早めにいい状態に持っていって、肘のリハビリも含めて来年にしっかり合わせたい」
「(来年は)楽しみではありますね。万全の状態で行くという判断を含めての早めの手術だったので、その期間を無駄にしないように、1日1日大切にしたい」
前例のない二刀流選手のトミー・ジョン手術。打者として出場しつつ、投手としてリハビリを進めるという過程は順調そのものに思われたが、復帰当初から左膝に違和感、痛みに悩まされてきた。患部の状態で走り込み量は制限。チームのポストシーズン進出が消滅、球団フロントから手術を薦められたことでレギュラーシーズン終了を待たずしての手術決行となったが、その中でも驚異的だったのが、“今季最終戦”と位置づけた12日の本拠地のインディアンス戦。5回1死で18号ソロ。しかも、打球速度114マイル(約183キロ)は自己最速だった。
「走るのだったりとか、振るのもそうですけれど気になるなと。そんなひどい痛みという感じではなかったですが、ある程度痛みは続いていたので。(手術)やるならこのオフかなという感じはずっと持ってやっていました」
「最後まで色々と試しながらやってましたね。裏のケージでも次の打席はこんな感じでやっていこうとか、最後の最後までそういう風にやってました。むしろ、何かいいものを見つけて来シーズンに入りたいなという思いはあった」
手術を決断したのは「2、3日前」。今年最後の試合と分かっていながらも戦う姿勢を崩さず、さらには来季への飛躍のヒントを得ようとする姿勢。昨季は医師から右肘手術を薦められながらも、動じることなく9月5日レンジャーズ戦で2本塁打を放ち、水原一平通訳を「(手術勧告は)すんなり受け入れていた。それにしても2発って。『持っている』というか、鬼のメンタルですよね」と、うならせていたが、貪欲な向上心こそが大谷の大谷たる所以なのだろう。
今季は106試合に出場し、打率.286、18本塁打、62打点、12盗塁。6月13日(同14日)の敵地・レイズ戦では日本人初のサイクル安打を達成したが、今季の思い出深い試合については「最後の試合は手術する前でしたし、ポストシーズンがなくなった試合も……。全体通してなかなか思い通りにいかない試合が多かった。今までのシーズンの中では一番悔しいシーズンだった」と良い思い出などを一切挙げずに、こうとも言った。
「数年前だったら満足したこともあったかもしれないですが……。そこが唯一良いことじゃないかなと思う。まだまだうまくなれる可能性が、その(うまくなりたい)気持ちがあれば、あるんじゃないかなと思います」
二刀流復活の期待がかかる20年。こんな精神力を備える大谷のさらなる飛躍を期待したくなる。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)