試合の流れをつかみ取ったアストロズ1、2番コンビ 先発コールも絶賛「大きかった」
アストロズの先発コールは制球を乱しながらも7回無失点と好投
ヤンキースとアストロズのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦は、本拠地ヤンキースタジアムで行われ、ヤンキースがレギュラーシーズン後半から今ポストシーズンで11試合連続の2桁奪三振を記録するア軍先発のゲリット・コールを攻略することができず1-4で敗れ、連敗。同シリーズの対戦成績は1勝2敗となった。
ヤンキース打線が制球に苦しむコールを攻略できなかった。初回にアルトゥーベ、2回にはレディックにソロ本塁打が出てコールは波に乗るかと思われたが、速球の制球に苦しみ5回までに5四球。しかし、ヤ軍は初回の2死満塁の好機を逸すると、以後、得点圏に走者を置いた3度の好機を生かせずに無得点。「5回から速球の制球がよくなってきた」と言うコールに、6回、7回を3者凡退に抑えられ、8回に5番トーレスのソロで一矢を報いた。
112球の粘投で7回を投げ切ったコールが「大きかった」と勝因に挙げたのが、7回表の自軍の攻撃だった。
先頭のスプリンガーがヤンキース4人目のオッタビーノから四球で出塁。打席には2番アルトゥーベ。長い間合いにタイムをかけ、仕切り直した直後だった。初球にスプリンガーが盗塁を敢行すると、ベース寄りに動いた二塁手の逆を突く鋭い当たりを右前へと運んだ。アストロズはこの好機に乗じ、暴投と犠飛でダメ押しの2点を挙げて試合を決めた。
オッタビーノに牽制を挟む考えはなかったのか――。試合後のクラブハウスで肩を落とす右腕に問いかけた。
「ベンチから最初にボールを長く持って様子見の指示があった。2度目(タイム後)はなかった。正直、盗塁をしてくる雰囲気は感じたけど、打者に集中してアウトにする方が得点を抑えることができるという考えだった。ああなった結果は仕方ない」
仕切り直し後、リードを取ったスプリンガーの上体は二塁方向へと傾きを見せたが、打者勝負に出たオッタビーノ。“2度目の間合い”も長くなり、走者には仕掛けやすくなる状況になったのは確かだった。
1つの間合いを上手く利用したアストロズの1、2番コンビが作った大きな勝因は、数字に表れない短期決戦の妙味である。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)