「捕手・阿部」がもたらした巨人の黄金期 一塁コンバートで球界は転換期へ?

「捕手であること」が増幅させた阿部のインパクト

 10月28日、スポーツ新聞各紙は巨人の原辰徳監督と捕手の阿部慎之助が会談し、来季からの阿部の一塁コンバートに合意したと報じた。

 阿部は2001年のプロ入りから強打の捕手として活躍してきた。2007~13年の期間は巨人を7シーズンで5度の優勝に導いた。今季は打率.248、本塁打19本と成績を落としたが、それでも12球団の捕手の中ではトップレベルの成績だった。

 一塁へのコンバートは、阿部の35歳という年齢に配慮し、捕手を務める上での肉体的な負荷を下げることが主目的だろう。しかし、この判断の影響は、時折見かけるベテラン選手の負荷の小さなポジションへのコンバートに比べ相当大きい。リーグ状況を一変させる可能性すらある。

 阿部の打者としての能力の高さは誰の目にも明らかだが、単なる強打者との決定的な違いは、捕手であるにもかかわらずリーグトップクラスの打撃力を備えていた点にある。

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12球団ポジション別の平均OPS(内野・2001~14年)

 最初のイラストを見てほしい。一般的に捕手は他のポジションに比べ「守れるか」が「打てるか」より優先されがちだ。1950年の2リーグ分立以降のポジション別の平均打撃成績を調べてみても、捕手は多くの年で最低の数字を記録している。近年もその傾向は顕著だ。

 そうした特徴のある捕手というポジションを務めながら打撃で好成績を残せた阿部は、他のポジションを務めながら同じ成績を残した場合より、他チームに対し大きな差をつけることができていた。

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