本塁打乱発に長い試合… 2010年代で変化したMLBに米誌警鐘「続けば繁栄はない」
米誌「スポーツ・イラストレイテッド」が「MLBは2010年代にあなたが思う以上に変化した」と特集記事を掲載した
ナショナルズが初のワールドシリーズを制した2019年も、あと数日。米最大のスポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」は「MLBは2010年代にあなたが思う以上に変化した」との記事を掲載し、2010年代のメジャーの変化を振り返っている。
記事では2010年の野球と2019年とでは大きく変わったと指摘。監督ら首脳陣が若返り、思い切った守備シフトなどデータを駆使した戦法が主流となっている。「10年前と比べて、今日の野球は驚くほど効率的になった」とし、「テクノロジーの発達がMLBと野球を変えた。20年代はもっと激変するだろう」と見出しを付けている。
選手の駆け引きよりも知識やデータが重視され、打者の戦法は大きく変わった。打球に角度をつけて打ち上げる「フライボール革命」が流行し、ヤンキース、ツインズが史上初のチーム300本塁打超え。メジャー年間6776本塁打は新記録となった。一方で空振りは「34%増えた」という。記事では「野球はこの10年で『大成功か大失敗か』というようになってしまった。本塁打と三振が中心となったのだ。駆け引きが減少して、独自路線を行く監督も少なくなった。直近の2シーズンが、野球の歴史で初めて安打よりもストライクが多くなったシーズンだった」と変化を綴った。
ファンにも“変化”があった。「効率的な野球をすることで犠牲になったこともある。少しでも、優位に立つために、プレーヤーに多くの(打球傾向などの)知識を与えたことで、野球は10年間でよりスローになり、ダイナミックさが欠けてしまった」として、平均試合時間は10年前に比べて16分長くなったと指摘。試合の3時間超えは当たり前となり、試合時間が長くなったことで観客数が減ったとしている。記事では「野球はこの10年間で450万人の観客を失った。1ゲームにつき7%減少したことになる。2010年代は、1960年代と1930年代と共に、MLBの観客動員数が減った唯一の10年となった」と伝えている。
記事では2010年代の“MVP”についてエンゼルスのマイク・トラウト外野手を挙げた。「トラウトの10年だったといってもいいだろう。彼は得点を多く上げ、長打を打ち、3度のMVPに輝いた」としたが、こう“注釈”を付けている。
「しかし、個人のプレーヤーやチームを超えて、この10年間の象徴となったのは、データとテクノロジーが野球を大きく変えたということだ。2010年代の半ばでスタットキャストがデビューし、軍隊レベルのテクノロジーで、フィールドでの全ての瞬間に対して、詳しいインフォメーションが与えられるようになった」
「2029年のゲームは、今、想像できない。ただ1つ言えることはスローなペース、アクションの少なさが今後も続けば、野球は繁栄することができないであろう」
日々“変化”を続けている野球。2020年代はどのような野球が展開されるのだろうか。
(Full-Count編集部)