【林昌範の目】「複数トレード」にはメリット ロッテと楽天の“大異動”に自身の経験重ねる
林氏は2008年オフに2対2の交換トレードで二岡とともに日本ハムへ移籍した
本年もよろしくお願いいたします。私は船橋中央自動車学校で営業部長として働く傍ら、プロ野球の解説の仕事など幅広く活動できればと思っています。また、昨年に引き続き今年も連載記事をやらせていただくことになりました。未熟な点も多いですが、読んで頂ければ幸いです。
今回は昨オフに話題になった楽天とロッテの「大型トレード」についてお話させて頂きます。結果的に大型トレードの形になりましたが、実際はロッテから鈴木大地選手がFA移籍、涌井秀章投手が金銭トレード、酒居知史投手がFAの人的補償での移籍とタイミングが重なってこのような形になったのだと思います。楽天からロッテにFA移籍の美馬学投手、FAの人的補償で小野郁投手、テスト入団で西巻賢二選手、そして楽天を自由契約になったハーマン投手も加入しました。
日本ではこのように複数の選手が「大型トレード」のような形態で移籍するケースは珍しいですが、互いのチームにとって大きなプラスになると思います。僕も現役時代に巨人から日本ハムにトレードで移籍したのですが、複数トレードで一緒に移籍した二岡(智宏)さん(巨人3軍総合コーチ)の存在が非常に大きかったです。
トレードで新天地に加入した選手は移籍先の球団に知っている選手が少ないと、その環境になじむまで野球以外でも気を使うことが多く精神的に疲れます。僕も日本ハムに移籍した初年度は通常の春季キャンプの2倍疲れた感覚でした。もちろんキャンプですから練習はきついのですが、サインプレーも全て違うので覚えなければいけません。首脳陣にどんな風に見られているのか、練習メニュー、初めて行くキャンプ地でどう動くのか、キャンプ休日の過ごし方…数え上げればきりがないほど色々なことに神経を使っていました。
ただ、日本ハムは他球団から来た選手を温かく迎えてくれるアットホームな雰囲気だったので助かりました。先輩の方々に食事など誘って頂いたり、日が経つにつれて慣れていきましたが、複数選手での移籍であれば、気持ちを共有できる部分があるので心強さがあります。野手の二岡さんとは練習メニューが違いますし、食事以外では一緒にいる時間は少ないのですが、その存在が大きな励みになりました。
チームにとっても新しい選手が入ることで、他球団の戦術、練習スタイルなど色々な情報を知ることができます。選手間の競争も活性化するので全体の底上げにつながる。大胆なチーム改革したロッテ、楽天が今年はどんな戦いぶりを見せるか。「移籍組」の活躍に要注目ですね。
文/構成 インプレッション・平尾類