巨人が大竹寛投手を必要とする訳とは

日本一奪還のために求められるローテーション投手

 巨人が広島からFA宣言した大竹寛投手(30)の獲得に乗り出した。先発ローテーションの一角として期待し、誠意をもって交渉する姿勢を見せている。一年間、ローテを守れるスタミナも評価しており、合意も近いとされる。

 巨人は2年連続でリーグ優勝を果たした。それなのになぜ、先発投手を補強するのか。今年も投手陣を豊富に揃えて勝った印象があるため、野球ファンの間でも疑問の声が上がる。その問いに簡潔に答えると、現状の投手戦力で白星を上積みするのは難しいからだ。

 今年の開幕ローテーションは内海哲也(13勝)、菅野智之(13勝)、杉内俊哉(11勝)、ホールトン(9勝)、宮国椋丞(6勝)、澤村拓一(5勝)の6人。現状で計算できるのは内海と菅野のみで、杉内は日本シリーズで2試合に登板して2敗と本調子ではなかった。ホールトンは契約切れ。宮国は右足を負傷してシーズン中に離脱し、満足いくボールを投げられていない。澤村は9月から中継ぎに転向させられた。来年は先発に戻される予定だが、現時点で数に入れるのは厳しい。

 そのため、開幕までに残りの3~4枠を埋めなくてはならない。先発ローテ投手は怪我をしたり、不調の時期があると一気に連敗し、チームが下降線を辿ることもある。2013年シーズンはエース内海が交流戦からオールスターまで調子を崩したが、新人の菅野が前半は好調。逆に後半戦は内海が調子を上げ、菅野が少しだけ調子を落とした。今年はなかったが、離脱するくらいの大きな怪我がある可能性もある。常勝を義務付けられたチームは6人以上、常にバランスよく駒を揃え、戦力が低下しないローテ投手陣を作らなければいけない。

 大竹を加え、杉内が状態を維持すれば、ひとまず4人は確定でき、不安要素はなくなる。残りを埋める存在が澤村、宮国、小山雄輝、笠原将生、また後半戦で力をつけた左腕・今村信貴ら5人の中から出てくるのが理想だ。

 V逸した3年前。開幕時に計算できるとされたのが、内海と東野峻(現オリックス)だけだった。そして蓋を開けてみれば、勝ったのは18勝の内海と、11勝した新人の澤村のみ。クライマックスシリーズの第1Sで敗退し、先発不足を露呈した。その後、杉内とホールトンの獲得に惜しみ無く資金を注ぎ、翌年は3年ぶりのリーグ優勝、さらには日本一に輝いている。

 今年、日本一を逃した巨人。タイトル奪還のために、投手補強も課題の一つと言える。それが、体が強く、魅力のある直球を投げる大竹ならば、問題はない。獲得が実現すれば、競争も激化し、澤村や宮国にも刺激になるはずだ。批判的な世間の目も出てくるだろうが、勝つために巨人はストーブリーグも攻めの姿勢を貫くに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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