新天地での貢献度は? “国内組助っ人”のシャッフルがもたらすインパクト

ブランコら入れ替え目立つ「国内組」外国人選手たち

 このオフ、例年なら契約延長もありえそうな成績を残した外国人選手を球団が早々と手放すケースが目につく。また一方で、32本塁打を記録したウィリー・モー・ペーニャとの交渉を切り上げ、DeNAを自由契約となったトニ・ブランコを獲得したオリックスなど、他球団を放出された外国人選手をリストアップし、補強を図る球団も変わらず多い。

 背景には積極的に動く編成部門を持つ球団が増えてきたこと、しかし実力を備えかつ日本でのプレーに興味のある選手は限りがあること、また日本の野球に適応できるかというリスクへの配慮などがあると思われる。

 こうした選手の入れ替えは“安全策”にも映る。だが、見返りとして得られる選手の活躍も限られたものになるという印象がある。今年のように一定の活躍をした選手を放出した上での入れ替えであればなおさらだ。

 今回は楽天、オリックス、DeNAで4番を打ちながら放出となったアンドリュー・ジョーンズ、ペーニャ、ブランコの3人を対象に、加入させるチームが戦力的にどんなプラスを得られるかについて考えてみたい。

 楽天を自由契約となったジョーンズの持ち味は、とにかく四球を選ぶこと。2013年は604打席で105四球を選び、打率.243に対して出塁率は.391。今年はさらに磨きがかかり、581打席でパ・リーグ新記録となる118四球を選び、打率.221に対して出塁率は昨年を上回る.394を記録した。

 ジョーンズの極端な低打率&高出塁率は評価が分かれるところかもしれない。各チームの主な外国人選手について、総合的な攻撃力を計る際によく使われるOPS(注1)を構成する出塁率と長打率のバランスを図で示すと、ジョーンズのスタイルがよくわかる。

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主な外国人選手の出塁率と長打率のバランス(2014年)

 ジョーンズの出塁率はウラディミール・バレンティン(ヤクルト)、マット・マートン(阪神)、エクトル・ルナ(中日)などと並んで高く、外国人選手ではトップクラスだ。しかし長打率は主力外国人の中では低めの値を出している。

 一般的にチームのスラッガーとなるとOPSに占める長打率の割合が60%前後となるが、ジョーンズは52%で長打率と出塁率の差も.032と小さい。

 レギュラー格の選手ではエステバン・ヘルマン(オリックス)、銀次、岡島豪郎(ともに楽天)、片岡治大(巨人)、鈴木大地(ロッテ)、長谷川勇也(ソフトバンク)などがこれに近い差で、多くは長打力よりシュアな打撃が持ち味の打者である。楽天が再契約の方向に進まなかったのは、このあたりの数字についてのとらえ方が影響したのだろう。

 ペーニャとブランコはどちらも出塁率は平均に近いが、長打率では平均を引き離している。ペーニャのOPSに占める長打率の割合は59%、長打率と出塁率の差は.142とジョーンズに比べ大きい。

 ただ、再契約の方向で進んだブラッド・エルドレッド(広島)、マウロ・ゴメス(阪神)などとはそれぞれ長打率、出塁率で差があるのが図からわかる。ペーニャとジョーンズのプロットを結ぶ斜めの線を引くと、球団が手放すか否かのボーダーラインのようにも見えてくる。

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