2年目の大躍進 データで見る大谷翔平の進化の理由【投手編】
奪三振と打たせた打球のデータに明らかな「投手・大谷」の成長
投手として11勝4敗、防御率2.61。打者としても打率.274、10本塁打を放つなど、日本ハム・大谷翔平の二刀流は2年目にしてさらに進化を遂げた。すでに投打でチームに欠かせない戦力となっており、特に投球に関してはリーグでも屈指の内容だ。今回は大谷の投打の貢献について、2回に分けて分析していきたい。
2014年の大谷の投手としての本格化は、投球シーンそのものだけでも十分感じることができるが、データでも明確に表れている。
投手成績を大きく向上させた原動力は、奪三振能力だろう。全打席に占める三振割合では、昨年は6人に1人の割合(16.8%)でしか三振を奪えなかったが、今季は4人に1人の割合(28.0%)まで伸ばしている。
三振はほぼ確実にアウトを見込める打撃結果で最も失点リスクが低い。これに三振と同じようにほぼ100%アウトを見込める内野フライを合わせると、2014年の大谷は対戦打者のうちの3割を、失点リスクが極めて少ない方法でアウトにしていることになる。
四球、本塁打など投手にとってリスクの高い打席結果の割合も減少している。四球の割合は前年の12.0%から8.9%とリーグ平均並みにまで落ち着いてきた。
四死球を出したり本塁打を打たれると、三振や内野フライならば断ち切れる攻撃が自動的に継続するため、その結果失点リスクは増大する。本塁打ならば即失点につながる。そうした投球におけるリスクの軽減という形でも成長の跡がうかがえる。
さらにゴロ、フライ、ライナーのうちどの打球を多く打たせたか、という面からも大谷の成長は明らかだ。インプレー打球(ファウルボールと本塁打を除く全打球)のうち、3種の打球それぞれを占める割合を見ると、ゴロの割合が大きくなっている。
昨年はゴロの占める割合が32.8%だったのに対して、エアボール(外野フライ+ライナー)が31.3%だった。今シーズンはゴロの占める割合が34.4%に対して、エアボールは24.9%になっている。大谷は投げたボールをバットに当てられても、リスクの大きな外野フライやライナーになる割合を低く抑える、という面でも成長を果たしている。
打者側から大谷を見ると、バットにボールを当てられずに打席を終了する割合が増えたのに加え、たとえボールを捉えても安打になりにくいゴロを打たせられる割合が高まるなど、この1年で力関係が大きく変わってしまった。大谷はパ・リーグの打者を圧倒しつつあるといっていいだろう。