来季ロッテの「7」へ ベストナインに選ばれた鈴木大地の「走力」とは
三塁打を量産できるわけ
来季から背番号が「7」になることが発表されたロッテ・鈴木大地内野手(24)。今年は楽天の松井稼頭央らを抑えてパ・リーグのショート部門のベストナインに選ばれるなど飛躍した。3試合連続三塁打を放つなど球団タイ記録の11三塁打をマークし、ダイナミックにダイヤモンドを駆け抜けた1年だった。俊足巧打の選手がつける「7」は、来季、QVCマリンフィールドに映えるだろう。
だが、鈴木本人は「僕は足が速いとは思わないんです」と語る。それでも三塁打を量産できるのは「走塁力」があるからだ。
走るスピードと走力はプロ野球の世界では異なる。ただ速いだけの選手ならば、これまでもたくさんいた。たとえば、2008年まで近鉄や楽天などでプレーした森谷昭仁氏(現在34歳)。近鉄でプレーしていたころ、梨田昌孝監督から「とにかく足が速い」と称され、ウエスタン・リーグで2000年から3年連続で盗塁王も獲得している。しかし、一軍では活躍できなかった。それはなぜか。
当時の球団関係者は「考える力が足りなかった」と指摘する。それでは速さは生かせない。打球方向の予測、投手の癖などの分析、スライディングの速さなど、走塁には思考力や技術が必要となる。盗塁王を4度獲得したことのある石井琢朗・現広島コーチ(43)は角度や勢いをつけたスライディングが武器の一つで、そのスピードの速さは相手守備から恐れられたほどだ。
鈴木大地にはずばぬけた足の速さはないが、秀でた判断力があった。三塁打のほとんどは一塁ベースを蹴った直後に「いける」と判断し、ギアを上げている。今季の球団タイ記録も、確実にたどりつける自信と確信に基づいた11本だった。ただ走るだけではない。鈴木が見せる、考えながら走る「走力」は、だからこそ、打撃や守備などあらゆる面で生きているのだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count