パ・リーグ初本塁打に初代王者は? 日刊スポーツで振り返る70年前のパ初の公式戦
パ・リーグ創設70周年を記念して日刊スポーツ紙面でリーグ初の公式戦を振り返る
パ・リーグ創設70周年を記念してお送りする特別企画。日刊スポーツよりご提供いただいた紙面を参考に、全10回で当時のパ・リーグを振り返る。また、野球殿堂博物館の井上裕太学芸員より当時についての詳細な解説もいただいた。
プロ野球再編問題という難局を乗り越えた末に誕生した太平洋野球連盟(パシフィック・リーグ)。第2回では、初年度における開幕戦、つまりパ・リーグにとって初の公式戦について見ていきたい。
記念すべき一戦の舞台は兵庫県・西宮球場。13時14分に開始された西鉄(現・西武)対毎日(現・ロッテ)のカードによって、その後70年の歴史を刻むパ・リーグがついに開幕した。
紙面上でその様子が「バッティング・シャワー」と形容されるように、試合は毎日打線が攻勢に出る展開となった。西鉄の先発・木下に対して、初回から毎日の4番・戸倉勝城が「パ・リーグ第1号」となる2ランを放って先制。ちなみに、この一発の飛距離は右翼310フィートだったとされている。現在のメートル表記では約94.5メートルだ。
これで勢いに乗った毎日打線は中盤3イニングで計7点を加える猛攻を見せ、一気にリードを9点に拡大する。毎日の先発マウンドに上がった榎原好は、西鉄打線を5安打1失点に抑える好投。試合は9-1で毎日が快勝するかたちで幕を下ろした。
セ・リーグは前日の3月10日に開幕しており、1日遅れの開幕となったパ・リーグ。実はこの西鉄対毎日の後には、南海対阪急の第2試合が実施されている。各球団がそれぞれの本拠地球場で試合をするフランチャイズ制は1952年からの導入であったためだ。こちらは13安打を放った南海が10-4で勝利している。
野球殿堂博物館の学芸員である井上裕太さんにまず質問したのは、「水爆打線」という表現についてだ。このインパクトのある比喩は、現在では1950年のセ・リーグ優勝チームである松竹ロビンスの強力打線の異名として知られている。今日では西武の「獅子おどし打線」などさまざまな愛称が生まれているが、その最古級のものと言えるだろう。
「開幕の時点では松竹に限らず猛攻のことを”水爆”と表現していたようですね。当時は(アメリカで)水爆の開発を行っていたので、そうしたことが背景にあったと言えます」
さらに、先述したような「バッティング・シャワー」やホームランを「ホーマー」と記述している。「パ・リーグインサイト」の試合戦評と見比べても、紙面上の試合展開の描写について現在と異なる部分が見られる。
「今だと試合の1番の鍵になったところをクローズアップすると思うのですが、これは試合展開まで細かく載っているなと思いますね。試合状況の比喩などから、記者の興奮度合いも伝わってきますね」