名将の勇退相次ぐ中で― 智弁和歌山・高嶋監督の飽くなき闘志

先を見据える智弁和歌山・高嶋監督

 秀岳館・鍛治舎巧監督(66)、日本文理・大井道夫監督(75)が今夏限りでの退任を発表した。今春には報徳学園・永田裕治監督(53)が勇退。年齢的なものなど理由は様々だが、甲子園を沸かした名将たちが去っていくのは、どこか悲しいものだ。

 選手同様、時代の移り変わりと共に若い世代が指導者として経験を積み、形となってまた新たな歴史を作っていく――。そんな中、春夏3度の全国優勝を誇り、自身通算37度目の甲子園、監督通算最多勝利数64を記録する智弁和歌山・高嶋仁監督(71)は、まだまだ先を見据えている。

 17日の2回戦。大阪桐蔭(大阪)VS智弁和歌山(和歌山)の試合は、最後の最後まで熱戦が繰り広げられた。スコアは1-2で智弁和歌山が惜敗。春の王者・大阪桐蔭を上回る12安打を放ちながら1得点。走塁ミスや送りバント失敗が重なり、再三の好機を生かし切れなかった。試合後に指揮官は「チャンスがありながら、いけるかなという思いがあったけど。こういう、いいゲームは勝たないといかん。負けたらいいゲームじゃないから」と悔しさをにじませていた。

 今年5月で71歳となった高嶋監督には、これまで何度か勇退報道が出た。OBで元阪神、巨人でプレーした中谷仁コーチが今春に加入したこともあり、後継者ができたことも1つの要因だ。それでも近畿の名門対決に紙一重で敗れた高嶋監督は「今度は叩かんと。智弁の名が廃る。センバツ、夏と出ないといかんなと思う」とニヤリと笑って見せた。

 大阪桐蔭の独走は許さない――。名門の看板を背負い続けた男の勝負はまだ続いていく。

(Full-Count編集部)

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