「あれはなかなかできない」巨人・増田大の“神走塁”を専門家が絶賛する理由とは?

巨人・増田大輝【写真:荒川祐史】
巨人・増田大輝【写真:荒川祐史】

9回代走で登場し、二盗と好走塁でホームインした増田大

■巨人 5-3 DeNA(19日・横浜)

 巨人が9回2死の土壇場から追いつき、最後は4番・岡本和真内野手の2ランで勝ち越した。原監督の見事なタクトで今季初の6連勝。岡本と同じくらい価値のある働きをしたのが9回、代走で出た増田大輝内野手だった。元巨人スコアラーで長嶋茂雄監督、原辰徳監督に仕え、長年巨人を見てきた三井康浩氏は「なかなかできるものではない」と高く評価。そのポイントを分析した。

 増田大は9回1死から途中出場で安打を放った坂本の代走で登場。絶対に失敗してはならない状況下で二盗に成功。ウィーラーが倒れ、2死に。続く、丸の打球は一、二塁間の強い打球。好捕したDeNA柴田は迷わず本塁へと送球した。一気にホームを狙った増田大は頭から突っ込み、一瞬早くホームに触れた。際どいタイミングでラミレス監督がリクエストしたが、捕手のタッチよりもヘッドスライディングをした左手の方がわずかに早かった。

 技と技の見事なぶつかり合い。見応えのあるシーンだった。

「なかなか、あの走塁はできないです。普通は三塁を回った時に躊躇すると思います。あの打球が飛んだ時に『絶対に行く』と決めていないと、あれはホームにはいけません。ああいう判断が長けていたのはやはり鈴木尚広選手だった。まだ記録的にも、総合的に見ても尚広選手の方が上ですが、度胸と積極性は(鈴木尚広に)匹敵するくらいのものを持っていると思います」

 鈴木氏が現役20年で積み上げた経験値の差を埋めることはできないが、そこに近づける素質はある。「アウトになったら試合が終わってしまう場面で、100%の確信がないとできない。その準備はしているはずなので、すごい走塁だったと思います」と準備が躊躇のない走塁につながったという。

 この試合では確実に得点圏に走者を進めた原監督と、そうでなかったDeNAラミレス監督の違いが表れた。

「原監督は手堅く、確実に得点圏に走者を置こうとしていました」。その中で、見過ごせない点もあった。同点の4回1死一、三塁の重信の打席だ。

 重信も俊足のプレーヤーで、転がせば、一塁がセーフになる可能性の高い選手。「2ボール1ストライクの打者有利のカウントで左翼フライでした。巨人のスタメンで出る選手なのですから、外野フライを打つよりも、内野の景色を見て転がさないといけない。もしもここで1点取れていたら、流れが変わっていました。先攻の場合は、同点で進んだら終盤苦しくなります。追い越さないといけなかった」と指摘した。

 最終的には9回の増田大の好走塁、岡本の本塁打で勝負あったが、ひとつ間違えれば勝てるゲームを落とす可能性もあった。首位を走るが成長途上のチームでもある今年の巨人。若い選手が経験を積んで、さらにチーム力が強固になることを期待したい。

【動画】「あれはなかなかできない」三井氏も大絶賛 巨人・増田大が見せた“神走塁”の実際の映像

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