辛辣な言葉で導いた頂点「悔しかったら優勝してみろ!」 東海大菅生・若林監督の手綱
甲子園が消えた選手たちに、例年以上に辛辣な言葉を浴びせてきた
高校野球西東京大会は7日、ダイワハウススタジアム八王子で決勝戦が行われ、東海大菅生が延長10回、4-3のサヨナラで佼成学園を破り3年ぶりの優勝を果たした。その3年前の甲子園では4強に進出。どこよりも甲子園出場、そして全国制覇を目標に練習してきたナインが、気持ちを保ち続けることができた理由はなんだったのか。そこには若林監督による“鬼の猛檄”があった。
3回、先発の本田峻也投手が犠飛で1点を失うと、その裏、3番森下晴貴外野手の二塁適時打で同点に。6回に再びリードを許すも、8回に5番堀町沖永外野手が適時打を放ち、食らいつく。9回にも失点を重ねたが、その裏、絶体絶命の2死から1番千田光一郎外野手が執念の同点打。土壇場で試合を振り出しに戻すと、延長10回1死二塁から5番の堀町が逆転サヨナラ中前打を放ち、激闘に終止符を打った。
2017年夏の甲子園で4強進出、全国でも屈指の厳しい練習で知られる強豪校。それだけに、甲子園中止の報道は選手の心に重くのしかかった。その落胆ぶりを誰よりも間近で見てきた若林監督は、あえて辛辣な言葉を選手に浴びせた。
「お前ら悲劇のヒーローぶってんじゃねえぞ!」「悔しかったら優勝してみろよ!」。甲子園中止を嘆く権利があるのは、出場権を勝ち取った者だけ。その指揮官のメッセージに、選手は奮起、驚異的な粘りで終盤に勝負をひっくり返した。
「甲子園中止が決まっても、決して優しい言葉や態度は出さなかった。怒ってばっかりで褒めないでね。例年以上に厳しくやってきました。よくついてきてくれたと思う」。この日、そう言って初めて選手を称えた若林監督。誰よりも選手の思いを知るからこそ、その鬼の目に涙はない。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)