オンラインMTG、電子日誌 立花学園“ユーチューバー監督”が唱える新しい部活様式
ドローン、VR、ラプソードと最先端の技術を駆使し激戦区・神奈川で実績
高校野球神奈川県大会は23日、横浜スタジアムで決勝戦が行われ、東海大相模が優勝。無観客試合でも変わらぬ盛り上がりを見せた神奈川の高校野球だが、そんな激戦区で近年、最先端のユニークな練習法を取り入れ躍進を続ける学校がある。今大会、惜しくもベスト8で敗れた立花学園、志賀正啓監督の指導法に迫った。
志賀監督が立花学園に赴任したのは4年前。以来、ZOOMはもちろん、ドローンやVR、プロでも使われる弾道計測器「ラプソード」にYOUTUBEと、様々なハイテク機器を活用してきた。もちろん、ただ目新しいものを取り入れているわけではない。就任4年で2017年夏、2018年夏、2019年秋、そして今夏と4度の県8強入り。全国屈指の激戦区である神奈川で着実に結果を残してきた。
シートノックでは、ドローンを飛ばし上空から守備隊形の映像を撮影。その場で確認することで、プレー中に自分がどこを守っていたのか、どこを守ればよかったのかを俯瞰で直感的に把握できるという。ドローンは昨秋、志賀監督自らバザーで購入。プロでも使われる高性能計測器「ラプソード」も指揮官が自腹を切って導入を決めた。
一方、NPBやMLBではすでに導入が始まっているVRは、立花学園の様々な試みを知ったNTTデータが試験的な運用を依頼。専用のゴーグルをつけるとバーチャル上に再現された立花学園のグラウンドで、様々な投手がランダムに投球を行う。打者はセンサーのついたバットを振り、ボールの軌道とバットの軌道、タイミングやスイングスピードなどを多角的に確認できるといい、いずれは全国の強豪校で実用化が検討されているという代物だ。
また、年明けからは監督自らYOUTUBEチャンネルを立ち上げ。「ハイ、みんな。ワクワクしてる~?」とのタイトルコールのあと、守備についての考え方や打撃指導など、複数回に分けて講義を行い選手は繰り返し映像で復習を行う。
「高校野球に革命を起こそう」をテーマに様々な取り組みを続ける立花学園は、コロナ禍による自粛にも柔軟に対応した。「日本一オンラインをうまく使ってやっていこう」をテーマに、選手も自身のバッティング映像を撮影し共有。2画面表示で過去のフォームと比較し、日夜ブラッシュアップを行ってきた。甲子園が中止となり、神奈川県の独自大会が決定した際、志賀監督は「悔しい気持ちはわかる。でも、立花の練習が間違っていないということを勝って証明しないといけない。神奈川の頂点を目指してやっていこう!」とZOOM上で涙ながらに訴えた。指揮官の熱い思いに触れ、選手もスマホアプリの電子日誌でそれぞれの考えを共有する。
いまだに収束の見えないコロナ禍のなか、“新しい部活様式”ともいえる立花学園の試みには、フジテレビ系「S-PARK」のドキュメンタリー企画「2020夏 これが、僕らの甲子園」(23日放送)も密着している。「立花の野球を高校野球のスタンダードにしたい。そのためにはまず結果を出さないといけないんです」と志賀監督。令和の高校野球を牽引する存在になるべく、新たな挑戦を続けていく。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)