鷹・周東がダントツの1位 パの快足たちが記録した内野安打の一塁到達タイムは?
リーグ屈指の俊足選手たちがズラリ、高いバントの技術もタイム短縮に寄与
決して派手とはいえないが、時として手に汗握ることがある内野安打。インフィールドに閉じられた勝負の世界で、もっとも早く一塁にたどり着いた選手は果たして誰なのか――。今期開幕から8月31日までの全内野安打について、バットにボールが当たってから一塁ベースに触れるまでのタイムを計測。そのトップ5を紹介する。
トップ5はすべてセーフティバントを試みた打席だった。バットにボールを当てるときに、すでに一歩目を踏み出す体重移動を始めていることが多いセーフティバントは、普通にスイングして走り出すよりタイムは短くなる。
しかし、走り出しが早すぎると目線がぶれてしまい、バントを失敗してしまう可能性も高まる。その絶妙なタイミングの中に、プロの技術を感じられるプレーでもある。
○5位:楽天・辰己涼介
まず5位はプロ2年目の楽天・辰己涼介外野手で、3秒72を記録した。リーグ有数と評される強肩や守備範囲の広さ走塁に現れる俊足が、セーフティバントでも生きた。1年目の昨季は124試合に出場。今季は打率2割前半と打席での貢献度は高いとはいえないものの、小技を使ってでも塁に出る姿勢が内野安打として現れた瞬間でもあった。
○4位:ロッテ・福田秀平
4位はロッテの福田秀平外野手。5位の辰己よりも100分の1秒早い3秒71を計測した。ソフトバンクから今季ロッテに新天地を求めた31歳。身体能力だけでなく、バントにも速さを生み出す技術が詰め込まれいた。下半身は一塁方向への体重移動を始めながら、バットにボールが当たる瞬間まで目線をぶらさないように頭は残したまま。打球の勢いを殺してライン際へ正確に転がる高い技術も相まって好タイムが生まれた。
○3位:ソフトバンク・周東佑京
3秒69というタイムで3位に入ったのは、ソフトバンクの周東佑京内野手。4位の福田から100分の2秒縮めた。走る姿は脱力したように軽やかながら、猛烈なスピードに乗る周東。そのギャップは魅力でもあり、内野安打にも顕著に現れる。伸びしろも計り知れない24歳が、3傑に堂々名を連ねた。
○2位:西武・源田壮亮
2位に輝いたのは、パ・リーグ屈指の足をもつ西武・源田壮亮内野手。3秒68を記録したプレーは、もちろんセーフティバントのときだが、他のランクイン選手とは少し趣が異なる。源田が狙ったのは、ピッチャーとファーストが守っている位置の中間あたりに強めに弾くプッシュバント。最後はヘッドスライディングで滑り込み、好タイムを叩き出した。
○番外編
1位を紹介する前に、番外編として2つのトピックを紹介。このランキングとは真逆で、内野安打時に一塁到達タイムが一番遅かったのはロッテのレアード内野手。5秒17というタイムだった。シフトを敷いた守備でがら空きだった一二塁間に打球が転がったことで生まれた安打だった。
2つめの番外編は、打球が飛んでからゴロを処理した内野手の送球が一塁に届く瞬間までのタイムの早さを紹介。取り上げたのは源田で、打球が飛んでから送球が完了するまでのタイムは4秒31。左打ちの俊足選手であれば4秒を切ってくることもよくあるためアウトにできなかったが、右打者が引っ張った際には五分五分の勝負になることが多いタイムでもある。
○1位:ソフトバンク・周東佑京
栄えある1位は、3位に入っていた周東だった。タイムは、2位以下を大きく引き離す3秒50。その俊足ぶりは日本を代表するものであることが、このランキングからもよくわかる。「できるだけ動かないほうがいい」バントの技術と、「できるだけ早く動きたい」スタートのタイミングがせめぎ合うセーフティバントにおいて、周東は非の打ちどころのない完璧なバントを決めた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、120試合制による短縮日程で開幕した今季も後半戦に突入。終盤へと向かっていくにつれ、より気合の入った内野安打もますます増えていくだろう。今後もさらなる好タイムが生まれるかもしれない。