守備側は受難の時代? 西武対楽天戦で如実に表れたコリジョンと“神の手”
西武はリクエストで判定が覆り、楽天は2度失敗…本塁ベース上の判定が明暗分ける
■西武 5-4 楽天(25日・メットライフ)
西武の辻発彦監督は25日、本拠地メットライフドームで楽天に5-4で競り勝った後、「今日は珍しくこっちにとっていい形ばかりになったけど、ホントに“アレ”は難しいと思う」と述懐した。この日、西武側のリクエストで判定が有利に覆り、対照的に楽天側の2度のリクエストは失敗に終わった。特に、本塁ベース上の判定が明暗を分けた。
西武は1点を追う5回、メヒアが右翼フェンス直撃の2点適時打を放ち逆転。さらに、続く中村の右越え二塁打で、一塁走者のメヒアは猛然とホームへ突入した。好返球でタイミングはアウトにみえたが、メヒアは足から滑り込みながら捕手・下妻のタッチをかわし、巧みに左手で本塁ベースに触れた。判定はセーフ。楽天側のリクエストでも覆らなかった。「100%セーフだと思ったよ」と笑ったメヒアの“神の手”だった。
一方、1点リードの8回の守備では、1死二塁から平良の投球が暴投となり、ボールは一塁ベンチ前を転々。二塁走者・茂木が三塁を蹴り、一気に同点を狙ってホームにヘッドスライディングしたが、捕手・森から好送球を受けた平良がタッチしアウト。楽天側は再びリクエストしたが、実らなかった。
「平良はうまくタッチした。ホント、ギリギリのタイミングだったと思う」とホッと胸をなでおろした辻監督は、「コリジョンルールでブロックができなくなって、走者はホームにも平気でヘッドスライディングしてくるようになった。タッチにいっても空振りして、走者に逆の手でホームベースに触られることが増えた」と指摘。「守備側がタッチする際は強めに、心して確実にやらないといけない難しさがある。完全にアウトのタイミングでも、タッチできないケースがある」と実感を込めて語った。
NPB(日本野球機構)には2016年から、ランナーの走路を塞ぐ行為などを禁じるコリジョンルールが導入され、さらに18年にはリクエスト制度ができて、ビデオ映像によるリプレー検証を求めることができるようになった。
ブロック禁止で“神の手”を許すケースが増え、さらにリプレー検証によって、それまでタイミングで判定されがちだったものが、厳密にタッチを求められるようになった。守備側受難の時代といえるかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)