台湾WLでも会場の1つに 国際大会のメッカ、台中洲際棒球場の魅力
プレミア12やWBCでも使用、赤い2本の鉄骨が目を引くスタジアム
台中洲際棒球場は、チャイニーズ・タイペイを代表するスタジアムだ。日本的に言えば、台中インターコンチネンタル球場となる。
2本の赤いトラス状の鉄骨が、球場を覆うようにかかっているのが目を引く。これは硬式球をイメージしたもの。今年になって、球場の隣には、これまた硬式球をかたどったコンベンションセンターが完成した。こちら流の「ボールパーク」を目指しているのだ。
両翼99.1メートル、中堅121.9メートルの国際標準のスタジアム。収容人員は、チャイニーズ・タイペイでは最大級の2万人。台中の中心街からは8キロくらい離れているので、アクセスは良くない。バスが台湾鉄道台中駅と潭子駅から出ているが、チャイニーズタイペイ第二の都市、台中市の夕方の渋滞は結構厳しい。ナイトゲームに行くときは余裕をもって移動したいものだ。
CPBLの中信ブラザースは、台中市内の台中野球場を本拠地にしていた。しかしこの球場は1935年竣工。1969年には讀賣ジャイアンツがキャンプを張ったことで知られているが、老朽化が進んでいるため、最近は台中洲際棒球場を使うことが多い。
ちなみに漫画「巨人の星」では、星飛雄馬はこの台中球場で金田正一から大リーグボールを作れと言われたことになっている。漫画には球場や台中駅がリアルに描かれている。
台中洲際棒球場は、海からは20キロほど離れているが、湿気が多く、ナイトゲームになると霧が発生しやすい。外野飛球が見え難くなるなど、野手泣かせの部分もある。
チャイニーズ・タイペイの球場は、常設の売店があまりない。ウィンターリーグ開催中のこの時期は、水や弁当(便當)、飲料などを売る店が3つほどあるだけだ。
しかしCPBLのレギュラーシーズン中は、様々な屋台が出る。空揚げや焼き鳥など日本でもおなじみの食べ物もあるが、人気があるのは豚の血を固めた煮凝り、そして臭豆腐。竹筒で発酵させた漬け汁を豆腐にかけたもの。中国大陸から伝わったが、こちらの人はこの臭豆腐が大好物。強烈なにおいがするため、日本人は驚くが、満員のナイトゲームでは、竹の舟に載せた臭豆腐を楽しみながら野球観戦するお客があちこちに見られ、球場全体が臭いに包まれる。
台中洲際棒球場ではその名の通り、インターコンチネンタルカップ、プレミア12、WBCの予選などでも使用され、日本の選手にもおなじみだ。
天然芝はきめが細かい。グランド整備の技術も高く、日本人選手の評判もおおむね好評だ。天然芝が映える美しい球場だ。野球好きには、ぜひ訪れてほしい。
(広尾晃 / Koh Hiroo)