なぜ楽天は異例の「GM兼監督」に舵を切ったか? 歴史が浅いからこその「チャレンジ」
「批判も多いが、新しいスタイルにチャレンジしていきたい」と立花球団社長
楽天は12日、石井一久GMが来季監督に就任することを発表した。編成部門トップのGMと現場の監督を兼任するのは極めて異例の人事。どこからこの発想が生まれたのか。そして、成算はどれだけあるのだろうか。
「“取締役GM兼監督”が正式名称になるかと思います」。オンライン会見に臨んだ立花陽三球団社長が、いみじくもそう語った。経営サイドの役員と、編成トップと、現場監督を兼ねるというのだから重職である。立花社長は「短期的にも、中長期的にもチームを強くするために、全てにおいて彼が必要。大活躍してほしい」と期待を込めた。
「異例ではあるが、われわれは歴史が浅い球団なので、課題も批判も多い。立ち止まることなく、新しいスタイルにもチャレンジしていきたい」とも語った立花社長。球団創設16年目を終えたばかりの楽天はOBの数が少なく、ノウハウの蓄積も少ない。だからこそ、従来の球界の常識に捉われない進取の気性がある。三木谷浩史オーナーも、過去に外国人選手枠の撤廃に言及するなど、さまざな球界改革のプランを頭に描く。
石井新監督はGM兼監督への就任に「中途半端になるのではないか、しっかり責務を果たせるのか、という思いもあった」と迷いながら「簡単ではないからこそ、しっかり取り組みたい」と決断。「今をなんとかしっかり乗り越えていかないと、このチームに歴史ができない」と球団の行方を左右する責任の重さを自覚している。