“温存”&控え起用で整った4戦全勝Vの下地 専門家が解説する鷹の強さとは

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

昨季までソフトバンクコーチ、現役時代にはヤクルトで日本一を経験した飯田哲也氏

 22日に京セラドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第2戦はソフトバンクが13-2で巨人に大勝し、2連勝を飾った。ホークス打線が爆発し、甲斐、グラシアル、デスパイネが本塁打を放つなど、15安打を放っての圧勝。ヤクルト、楽天で計20年間プレーし、ソフトバンクで19年まで5年間コーチを務めた飯田哲也氏は「普段通りの野球ができていて、ホークスの強さが目立つ試合だった」と振り返った。

「初回に3点を奪ったことで、巨人に対し、ホークスは強いなという印象を与えた。柳田、グラシアル、デスパイネ、中村晃と、打つべき人が皆、結果を残しているし、打ち出したら手をつけられなくなる」

 投手陣にとっても収穫のある試合だった。先発・石川が5回1/3、2失点。打線が大量点を奪ったことで、第1戦で出番のなかったリリーフ陣を起用することもできた。そして飯田氏は6回1死一、二塁の場面でリリーフを送った工藤監督の先発交代のタイミングについても絶賛した。

「石川は球が高めに上ずっていた。普段よりもボール球が多かったので、緊張感はあったと思う。だが、3点のリードをもらい、気持ちよく投げていた。6回の工藤監督の替え時の判断はお見事だった。その後、嘉弥真が丸を打ち取ったが、あそこが試合のポイントだった。大差がついたことで、初戦に投げていなかった中継ぎ陣も投げられた。緊迫したところで初登板で投げるよりも、1回投げたことで雰囲気に慣れることができたのは大きい」

 序盤からの大量リードで投手だけでなく、ほとんどの野手に日本シリーズの舞台を経験させることができていた。連勝で、俄然有利になっただけでなく、来季以降の底上げにもつなげている印象がある。

 だが飯田氏は、まだまだ油断大敵だと警鐘を鳴らす。それは、自身も92年の日本シリーズで、1試合の結果でチームの雰囲気が大きく変わることを体験しているからだ。

「92年に西武と対戦した時は、西武が黄金時代で強かった。『僕らヤクルトは大丈夫かな? 4連敗だけは避けたいな』という心境だった。でも、初戦で勝ったことで『よっしゃ、これはついている』という雰囲気になった。その後は3連敗した後、2連勝し、最後は西武が勝ったけど、短期決戦の日本シリーズでは1勝で流れが一気に変わるのを実感した」

 巨人にとっては厳しい局面だが、この2試合で悪いところを全部吐き出した。何点差で勝とうと1勝は1勝だ。ホークスは「巨人は大したことない」と油断せず、気を引き締めないといけないとも話す。

 24日からは試合会場を大阪から福岡へと移す日本シリーズ。第3戦以降、両チームは日本一の座をかけてどんな戦いを繰り広げるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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