【高校野球】周囲への感謝と被災地への思い 選手宣誓主将が見た熊本の現実
高校野球から元気を―
今年、始球式には熊本の阿蘇中央高校の倉岡主将、入場行進の先導役に熊本・東稜の山門主将が指名された。選抜高校野球から設置されたバックネット裏席のドリームシートには地震の被害の大きかった益城町にある益城中学校の生徒たちが招待されるなど、少しでも高校野球から元気を届けようという雰囲気が作られた。
選手たちも何か力になれることはないだろうかと考え、前田主将は選手宣誓にメッセージを盛り込んだ。これは熊本だけの問題ではなく、自分たちも同じ思いを共有したい、少しでも高校野球から喜びを提供できればいいと、精いっぱいプレーすることを胸に誓った。
何ができるかはわからない。ただ、ひたむきなプレーは心に響く。熊本県内では地震直後、野球をやりたくてもできない時期もあった。益城中学校の生徒たちも野球を一時、奪われた。再び野球をできることになった時は心の底から喜び、白球をみんなで追いかけた。仲間に会えたこともうれしかった。追いかける1個のボール、ひとつのプレーがすべて笑顔につながっていた。
前田主将は最後に宣誓で「これからの100年も高校野球が皆様に愛される存在であり続けるよう、未来への架け橋として、ここ甲子園で一生懸命最後までプレーすることを誓います」と言った。熊本の現実を見て、支え合っていくことの大切さを後世に伝えていくことが今大会の宿命だと受けとめいるようだった。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count