「下克上」は本当に魅力? 日本のポストシーズンに見る今後の改善点
「下克上」がポストシーズンの面白さではあるが…
メジャーリーグも日本と同じように、レギュラーシーズンの各地区優勝チーム(6チーム)以外にも、ポストシーズンに進出できる枠がある。「ワイルドカード」と呼ばれ、各リーグの勝利数の多い2チームに出場権が与えられるのだ。
今年の例を見ると、アメリカンリーグは92勝70敗のレイズと92勝71敗のインディアンス、ナショナルリーグは94勝68敗のパイレーツと90勝72敗のレッズがその権利を勝ち取った。ワイルドカードとはいえ、レイズの92勝はア・リーグ中地区覇者で93勝したタイガースと1勝しか変わらない。さらにパイレーツの94勝は、ナ・リーグ西地区優勝のドジャースの92勝を上回っている。
つまり、ポストシーズンに出場する10チームはほとんどの場合、高いレベルで実力が伯仲しているのである。メジャー全体で30チームとチーム数が多いことが要因の一つなのだが、たとえ、ワイルドカードからワールドシリーズまで勝ち上がっても、不平不満は噴出してこない。
では、日本のプロ野球ではどうか。クライマックス・シリーズに出場する3位のチームと1位チームの成績が大きく離れるケースがあり、レギュラーシーズン3位チームの勝率が5割を下回っていることも珍しくない。
今年の場合も、84勝53敗7分で優勝した巨人は、3位の広島(69勝72敗3分)に17ゲーム差をつけた。その広島は借金3でクライマックス・シリーズに滑り込み、2位・阪神を破って巨人への挑戦権を得ている。メジャーリーグとは違い、1位のチームには1勝のアドバンテージや全試合本拠地開催というメリットを付与されるものの、真の日本一を決めるという意味においては異論を挟む余地もあるに違いない。
確かに、2010年にレギュラーシーズン3位から日本一に駆け上がったロッテのように、「下剋上」が日本のポストシーズンの面白さでもある。これを日本独自の魅力と捉えるか、それとも、勝率5割以下のチームにはポストシーズンへの参加権を与えない等の対策を講じるか。野球界を盛り上げるためにも、今後、議論を続けていく必要があるだろう。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count