田中将大は海を渡れるか? 新ポスティング制度の締結の遅れが球界に与える余波
ルールの遅れが米球界に混乱を招いている
米球界も混乱に包まれている。大リーグ機構(MLB)と日本野球機構(NPB)の間で協議を続けてきた新たなポスティング・システム(入札制度)が、17日にも正式に締結され、日米同時発表となる見込みとなった。
楽天・田中将大投手(25)にとって、ようやくメジャー挑戦への扉が大きく開かれる――。と言いたいところだが、手放しでは喜べない。締結が予定より1か月以上も遅れ、新制度の仕組みにも従来のものから大きな変更があることで、米球界の事情は変わった。楽天としても、苦渋の決断を迫られる可能性が出てきている。今オフ、田中は本当に海を渡れるのだろうか。
本来なら約1か月前のGM会議で締結されるはずだった新ポスティング・システムは、メジャー側が取り下げたことで頓挫した。MLBのロブ・マンフレッド最高責任者(COO)は、選手会の反対などで意見をまとめきれなかった日本の対応が遅すぎたと非難し「ポスティングがなくなってもいいという意見もある」と強気に言い放った。
その後はMLB側の意見をまとめきれないことが続き、両者は交渉を続けたが、結果として、選手の契約や移籍について活発に話し合われるウィンターミーティング(今月9~12日)までに間に合わなかった。その影響で米球界が混乱している。
移籍市場は例年、大物選手の去就から決まっていく。しかし、先発投手で今オフ最大の目玉とされている田中は、いまだに海を渡るのかすら分からない。
市場は完全に凍結しており、敏腕代理人のスコット・ボラス氏は「田中ほどの才能がある選手が市場に出るなら、どの球団も資金を注ぎ込みたいところ。先発の主軸を補強したいなら、様子を見るはずだ。新ルール設定の遅れは、メジャーの投手陣に最も影響を与えていると思う」と話す。そして、田中獲得を狙っているチームは補強に遅れが出ていることで、しびれを切らし始めている。