田中将大は海を渡れるか? 新ポスティング制度の締結の遅れが球界に与える余波
金満球団が撤退する可能性も浮上
本命の1つと見られていた金満球団も撤退する可能性が出てきた。米紙ロサンゼルス・タイムズが「ドジャースのタナカへの熱が冷め始めている」としきりに報じているのだ。温暖な西海岸を本拠地とするドジャースは、生活面などを考えても田中の移籍先として向いているとされており、この報道が事実なら、メジャー挑戦が決まった場合に重要な選択肢の1つを失ったことになる。
ニューヨークの地元紙デイリー・ニューズは「タナカ獲得はまだヤンキースの最優先事項」と報じており、もう1つの本命は熱を保っているようだが、もし同時に“保険”として交渉を進めてきた投手との契約がまとまってしまえば、こちらも撤退する可能性は十分にある。
一方で、不思議な現象も起こり始めている。新ポスティング・システムの入札額は上限2000万ドル(約20億円)となる見込みで、分割払いが可能となる可能性もある。選手は上限額を入札した全球団との交渉ができるため、多くのチームが“参戦”の権利を得られる。そこで名乗りを上げたのが、中小規模の球団であるダイヤモンドバックスとツインズだ。
ダイヤモンドバックスはGM会議の時点で入札の意向を示していたが、ここに来て、田中獲得を「最優先事項としている」との報道が出始めた。また、ツインズのロン・ガーデンハイヤー監督も「ルールが正式に発表されれば、うちは入札に動くつもりだ」と明言。その理由は何か。
ボラス氏は明確に指摘する。「中小規模の球団は、従来の規則では話し合いの場にすらつけなかった。しかし、新しいルールになれば、勝負するチャンスはもらえる。選手が移籍先を決めるのは年俸だけでなく、地理的な条件や、家族のサポートなど色々な面が絡んでくる。必ずしも資金源が豊かなチームが獲得するとは限らない」。入札額の上限設定と、締結の遅れが意外な形で出ているのだ。