補強資金をつぎ込んでも高まらない“新生ヤンキース”の評価。田中将大に掛かる大きな期待
外野とは対照的に不安の残る内野
外野とは対照的に、内野には不安が多い。一塁手のテシェーラが万全ならば、勝負強い打撃と堅実な守備で大きなプラスとなる。ただ、手術を行った右手首の不安は消えず、衰えが見え始めているのも気になるところ。二塁は最大のネックで、昨年は低調な打線でシーズンを通して孤軍奮闘したロビンソン・カノが抜けた穴を埋められていない。36歳のロバーツに全盛期の活躍を求めるのは酷な話。「金の亡者」として、あっという間にヤンキースファンから嫌われたカノだが、攻守両面において失ったものがいかに大きかったのか、気付かされることになるだろう。
三塁もジョンソンでは心許ない。Aロッドも衰えが激しいが、薬物騒動の渦中でプレーした昨年を見る限り、存在感の大きさは失われていなかった。相手に与える重圧も大きかった。荒さはあるが、6年連続20本塁打以上と一発のあるマーク・レイノルズをチームに残しておいても良かったのではないか。下位打線にいれば怖い存在だったからだ。
ショートは復帰するジーターが万全ならば問題はない。守備に不安が多いものの、メジャー史上10位の安打を残る主将の存在の大きさは、数字では計れない。ただ、昨年のように負傷離脱を繰り返したり、衰えが目立つようだと、一気に苦しくなる。エドワルド・ヌニェスでは力不足であることは、すでに露呈済みだ。ブレンダン・ライアンという名手が控えることで、守備面の不安は払拭できるが、打線の穴は大きい。ガードナーを上位に回せば、昨年のように、下位打線に“安パイ”が並んでしまう試合が増える。相手にとって戦いやすいチームになってしまうだろう。
期待はあるものの、全体的には不安要素が多い。昨季とほとんど戦力が変わらないレッドソックス、レイズの実力を考えると、地区3位という評価は妥当と言えるだろう。これを劇的に変える可能性があるのは、やはり田中ということになるだろう。ルーキー右腕がメジャーを席巻するような活躍を見せれば、名門球団の雰囲気はガラッと変わるかもしれない。戦う度に自信を深めていった昨年の楽天のように。王座奪還に向けて、田中にかかる期待は、やはり初年度から相当に大きい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count