田中将大、黒田博樹の勝ち星が消える? ヤンキースのブルペンに潜む危うさ

ロバートソンにはクローザーとしての経験が不足

 復活を目指すヤンキースには、誰が見ても明らかな弱点がある。米メディアがしきりに指摘しているのは、マリアノ・リベラらが抜けたブルペンの層の薄さだ。先発2番手を任される黒田博樹投手(39)、新加入の田中将大投手(25)にとって、リードを守ってくれるはずの救援陣が盤石であるかどうかは死活問題。今のメンバーで2009年以来の世界一にたどり着けるのだろうか。

 まずは、試合を締めるクローザーから見てみよう。1997年から試合を締め続けてきたリベラが昨季限りで引退。メジャー史上最多の652セーブを挙げた偉大な守護神の後任は、昨季までセットアッパーだったデビッド・ロバートソン(28)が務める。

 メジャーでは通算339イニングを投げて防御率2・76と安定感抜群。さらに、奪三振率(9イニングあたりの三振数)は11・71と、救援投手として特筆すべき数字を残してきた。

 ただ、これはほとんどが8回以前のマウンドで記録してきたもの。より重圧がかかる9回のマウンドは全く別物だ。地元紙ニューズデイの報道によると、ロバートソンは過去に18度のセーブ機会に登板しているが、成功はたったの8度。成功率は50%に届かない。8回までの防御率は2・29なのに対して、9回は3・88と大きく数字が落ちるというのだ。

 昨季終了後、各チームのクローザーが相次いでFAとなった。ジョー・ネイサン(レンジャーズ→タイガース)、グラント・バルフォア(アスレチックス→レイズ)、ホアキン・ベノア(タイガース→パドレス)、フェルナンド・ロドニー(レイズ→マリナーズ)ら市場には新クローザー候補が溢れたが、ヤンキースは獲得に動かなかった。このことがどう影響するのか。経験のないロバートソンのクローザーは務まるのか。不安は尽きない。

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