高校野球を彩ってきた3人の名指導者 それぞれが迎える最後の夏
今年で勇退する若生監督とともに甲子園出場を決めた九州国際大付
2014年の夏の高校野球の地方大会では続々と代表校が決まっている。年齢や学校の経営の問題などで今年の夏でユニホームを脱ぐ、あるいは学校を去るといった指導者がいる。ある3人の名将のラストサマーに迫る。
福岡では九州国際大学付属が3年ぶり5度目の甲子園出場を決めた。若生正広監督(63)は今年の夏を最後にユニホームを脱ぐ。若生監督は宮城・東北高校で春5回、夏2回、甲子園に出場。九州国際大付属では春1回、夏2回。計10度の甲子園出場を誇る。2003年には東北高校を率いて準優勝。このとき、2年生のダルビッシュ有(レンジャーズ)がいた。そのほかにもヤクルトの雄平らを指導した経験がある。
2006年に九州国際大付属に移り、8年の歳月が流れた。2007年には国指定の難病である黄色靭帯骨化症を発症。つえを使いながらの指導や車イスの姿が見られた。今年、指揮官は勇退することを決め、最後の夏へと向かった。
夏の福岡大会を前に、退任の事実を知ったナインは発奮。若生監督も「目の色が変わった気がする」と一体感を感じ取った。県内屈指の打撃力を持ちながら、春の大会は2回戦で敗退。それがどうだ。清水優心捕手らを中心に、夏は2回戦を12得点で快勝し、5回戦の強豪、福岡工大城東にも11-1と力の差を見せつけた。
打撃に力があった分、慢心があった。春大会以降、バットを短く持ったり、コンパクトにつなぐ意識を全員が持ち始め、「線」になったことが大きい。決勝戦でも4回に7得点するなどビッグイニングを作り、16-0で北筑に圧勝。「見違えるほど成長したね」と指揮官。ナインも甲子園で監督とともに1日でも長く野球をやることを目標にしている。