「私学4強」で凌ぎを削る激戦区・愛知県 今夏代表の春夏66勝・東邦高校は1977年「バンビ坂本」以来の躍進なるか
名だたるスター選手を輩出
プロ野球へ進んだ選手は「4強」いずれも豪華メンバーです。愛工大名電はイチロー(米ヤンキース)を筆頭に、工藤公康(元西武ほか)、山崎武司(元中日ほか)などタレント性のあるOBが多いです。中京大中京も、校名が「中京商」「中京」時代に栄光を築いた往年の名選手だけでなく、最近も嶋基宏(楽天)、堂林翔太(広島)などを輩出。東邦は朝倉健太(中日)らのほか、今年プロ入りした関根大気(横浜DeNA)は高卒ながらいきなり春季キャンプで一軍に抜擢されました。
享栄は大島洋平(中日)や、プロ史上初となる初登板でのノーヒットノーランを達成した近藤真市(現中日コーチ)が有名です。現在プロで活躍する八木亮祐(ヤクルト)など、「享栄=好左腕」のイメージが地元ではすっかり定着しています。
アマ球界の指導者は、中京大中京が一大勢力を誇ります。滝正男、杉浦藤文、深谷弘次ら、中京大中京の一時代を築いた名将の教え子たちが、現在も愛知県内の各高校で指揮を執っています。近年、「私学4強」以外で愛知県から甲子園に乗り込んだ大府、成章、愛知啓成、至学館、豊川のうち後の3つは私立高校ですが、いずれも中京大中京出身の監督が率いていました。このほか、愛工大名電は中村豪、享栄は柴垣旭延、東邦は阪口慶三の各氏らが名将として知られています。
学校はいずれも名古屋市内に位置していますが、校舎に隣接してグラウンドがあるのは中京大中京のみ。残る3校はグラウンドが離れた位置(瀬戸市、春日井市など)にあります。愛工大名電の野球部は私学4強で唯一の全寮制を敷いていますが、チームの雰囲気は、2012年の甲子園を沸かせた濱田達郎(現中日)いわく「名電は比較的、自由な感じ」なんだとか。愛工大名電は部員数も少なく、3学年合わせて毎年45人程度。逆に東邦などは100人を超え、練習も厳しいとされます。
今年190校(連合チームがありチーム数は189)が夏の大会に参加した愛知県。これは全国でも一、二を争う多さで、公立校や新興私学の台頭も著しいですが、やはり今でも私学4強が軸として君臨しているのも事実。それぞれのカラーを出し、今後も目標とされる存在であり続けます。
*学校名については、すべて現在の校名で表記
*記録は2014年8月9日現在
(原稿提供:Baseball Nine)
尾関雄一朗●文 text by Yuichiro Ozeki