5人の新監督で成功を勝ち取るのは? それぞれの注目ポイント
期待される工藤監督の手腕
ソフトバンク工藤公康監督は言わずと知れた優勝請負人。48歳で現役引退を決めた長寿選手で、ドラフト6位入団・FA移籍、200勝、FA人的補償で移籍と経験豊富な野球人だ。喜びも苦悩も味わった。投手として、城島健司捕手をダイエー時代に育てながら投球したり、巨人では当時育成選手の山口鉄也を自主トレ先のアリゾナに連れていき英才教育をするなど、あらゆる場面で選手を指導してきた。
中でも育成選手から支配下としてプレーする左腕の山田大樹らをもう一花咲かせてほしいという球団の願いもあるが、やはり期待していまうのが、今年のドラフト5位で指名された中央大学の左腕・島袋洋奨だ。
島袋は2010年に興南高校のエースとして、春夏甲子園連覇。琉球トルネードの異名を持ち、人気を博した。しかし大学に入ってからは投球フォームを崩し、制球難に陥った。秘める能力はドラフト1位クラスだったが、大学の上級になるにつれて評価は下がっていった。しかし、プロの目からすれば、指導すれば改善できる程度の不調とあり、ソフトバンクで再び輝きを取り戻せるか注目が集まる。工藤新監督も同じ左腕とあり、「甲子園の時のレベルに戻したいのか、そうではないのか、本人と話しながら決めていきたい」と話している。そこで島袋がどう変化してくのかが楽しみである。
西武は代行から、田辺徳雄監督が昇格。田辺監督といえば、現役時代は常勝西武軍団を支えたいぶし銀のショートストップ。来季の西武は一塁・メヒア、二塁・浅村、三塁・中村と強打者がそろう。田辺監督もオーダーを決める上での懸念材料として、ショートを挙げている。
中島がメジャー移籍で抜けた後、西武のショートは懸案だった。片岡が務めたこともあったが、昨年、FAで巨人へ移籍。ショートの育成は急務となった。毎年、キャンプでは遊撃手のレギュラー候補を競わせてきたが、チャンスをがっちりとつかんだ者はいない。渡辺直人、永江恭平、金子侑司、鬼崎裕司らを起用してきたが、定位置を獲得するまでに至らなかった。
一時は中島の獲得で埋めようとしたショートだったが、古巣には戻らずオリックスへ。今年も若手にはチャンスがある。堅実な守備をする永江に田辺監督は期待をかけている。当時の秋山、清原、デストラーデほどの破壊力はないが、幸いにも攻撃陣は選手がそろっている。黄金期の西武において味を出していた田辺遊撃手のように、永江もチームのバランスを取れるような選手に成長できるだろうか。