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オリックス大補強の舞台裏 改革を託された男の哲学(上)

本気度が伝わる補強で相手に脅威を与えるオーダーが実現

 そしてもう1人キーとなる存在が小谷野だ。加藤氏の編成は選手ありきではなく、あらゆる試合展開を想定した上で理想とするオーダーを描き、そこに適した人材を当てはめていくというもの。小谷野との交渉でもその構想を具体的に提示したという。

「僕は小谷野に6番を打つのはどうかと。そうしたら本人も『僕、6番でいきたかったんです』って言ってくれた。だから『ダブルクリーンアップで、後ろの4番をやってくれ。打点王を狙えよ』と」

 編成段階であったオーダーのイメージは、駿太、安達了一、糸井嘉男、ブランコ、中島、小谷野にT-岡田、伊藤光、そして平野恵一。バランスよく左右の打者が並ぶ打撃陣は他球団にとっても脅威だ。

「相手に中継ぎを早めに投入させて、6回か7回で敵の勝ちパターンを出させたら、9回に誰もいないっていうケースが出てくる。そういう状況を作りたい。相手に抑えがいなくなって逆転という状況ですよね。だからジグザグで組めるような人材を探してたんですよ」

 それと、と加藤氏は続ける。

「今回、中島や小谷野らを獲ったことで、うちが本気だということが伝わったと思うんです。彼らは僕らが本気だということを示す、アイコニックとなる選手なんですよ」

 楽天で日本一を経験している加藤氏は2014年シーズン中にオリックスが上位争いを続けている間も、優勝するには何かが欠けていると感じていたという。リーグを制するチームは連敗しなかったり、勝負所で勝ち切る強さがある。その裏には選手たちの「経験」も大きく影響する。

 だが、これまで長らくBクラスが続いていたオリックスには「勝つ」経験をしている選手が少ない。ソフトバンクの終盤の失速もあり、結果的に最終戦まで優勝を争ったものの最後の最後でタイトルに手が届かなかった。加藤氏は「80勝したことにはすごく胸を張っていいと思うけど、優勝するには1つ、2つが足りなかった」と言う。

「今回、補強した選手たちはバリントンを除いてみんな3年契約ないし2年契約。その間にチームの方向性を作りたいんです。中島や小谷野のように優勝経験のある選手を呼んだのもステージを1つ上に上げたかったから。ただ、編成に関しては昨シーズン、選手があれだけがんばったから、補強に勢いがついたと思います。これが4位、5位だったら球団の上の方たちからも補強策に疑問の声が上がっていたかもしれない。でも、優勝に極めて近い2位だったから僕が言うことにも協力しよう空気になった。周りのオリックスを見る目も変わって、選手が来たいと思わせるようなチームにもなった。現場が意地を見せてくれたのが大きかったと思います」

 08年以来6年ぶりに2位となったチームの勢いと、編成のビジョンと交渉。これらがうまくかみ合って15年シーズンに優勝を狙えるだけの戦力を揃えることができたのだった。

【中編に続く】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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