ヤクルトに投入された「劇薬」 成瀬は燕投手陣に化学変化をもたらすか?
成瀬がチーム浮沈の鍵を握っていることは間違いない
それに加えて、今季は自身の完全復活も印象づけなければならない。09年から12年まで4年連続2ケタ勝利をマークしていたが、13年は6勝、14年は9勝止まりだった。
「すべては13年に左肩を痛めてから。昔とは体つきも違うし、前と同じ状態に戻ることは難しいですけど、もっとダイナミックなフォームにしていきたい。新たな投球スタイルを作っていきたい」
原因は無意識に左肩をかばい、フォームが縮こまっていたこと。投球時に右手を高く上げる「猫招き投法」が代名詞だが、勢いをつけるために行う右手を引く動作が、弱くなっていたと分析。「右手をうまく使えるようになれば、球のキレや球持ち、球速も上がってくるはず」と復活に向けて試行錯誤を続けている。
それでも、成瀬がチーム浮沈のカギを握っているのは間違いない。16勝を挙げた07年のような活躍を見せれば、小川や石川だけでなく、若手投手も刺激を受け、チームは上昇気流に乗る。逆に、ここ2年と同じようなふがいない成績に終わった場合、若手投手へ与える影響も薄れ、底上げは失敗に終わる。まさに「劇薬」と言えるかもしれない。
「プレッシャーはないと言ったらウソになりますよ。でも、新しい環境でやりたいと思って、FA宣言したのもあるし、競争、刺激が今はある。だからこそ結果にこだわっていきたい」
成瀬という名実共に一流の投手が、燕投手陣にどんな化学変化をもたらすのか。チームが、そして何より成瀬自身が期待している。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count