【パ×Full-Count】今年も人気アニメとコラボ なぜ西武はアニメ界とタッグを組むのか
西武鉄道沿線に点在するアニメ制作会社
そしてもう一つの戦略、球団が“ヨコの軸”と言う新規ファンの開拓について、アニメとのコラボレーションも大きな役割を担っている。
“ヨコの軸”について佐々木氏は「メインの戦略は、地域貢献や地域密着をメインに活動し、球団名に埼玉の名前を入れたのも一つの流れです。2008年から西武ドーム(今年から西武プリンスドームへ名称変更)だけでなく、県営大宮球場での主催試合を年に数度行うようにしました。埼玉県と西武沿線にある自治体の感謝デーを開催したり、一昨年からは腕の部分に県章をいただいたユニフォーム(今年からビジターユニフォームとして採用)を着用することで、地域により根ざした球団となり、新規顧客との接点を増やしています」
地域密着は理解できるが、ではなぜアニメとのコラボレーションが積極的に推進されるのか。それは、埼玉県、そしてライオンズの親会社である西武鉄道が走る沿線に、その理由が隠されている。佐々木氏は続ける。
「埼玉県は、人気アニメの舞台となることが近年とても増えています。県の観光課や各自治体も、アニメの聖地として積極的に力を入れています。また、親会社の西武鉄道沿線には、アニメの制作会社が数多く存在しています。代表的なものは、高田馬場にある手塚プロダクション、大泉学園の東映アニメーションの大泉スタジオ、上井草のサンライズ、田無のシンエイ動画などですね」
日本動画協会の調べによると、アニメの制作を手掛ける事業社は国内に約420社。その内、練馬区に79、杉並区に70、西東京市に30の事業社があり、日本全国のアニメ制作会社のうち、半数近くが西武鉄道沿線に居を構えていることになる。ライオンズが地域密着を掲げながら新しいファンとの接点にアニメと連携するのは、必然的なことだった。
きっかけは、2010年の6月だ。佐々木氏は当時をこう振り返る。