得点力上昇の中日、「弱み」をカバーする起用法とは?

意外と少ない「固定ポジション」、併用での目立った成功が見当たらないパ

 選手を固定できないポジションは「チームの弱み」としてとらえられることは多い。しかし、実際に選手を固定できているポジションというのはそこまで多くない。

 5月21日終了時点で、1つのポジションで全イニング出場を果たしているのは、パ・リーグでは浅村栄斗(西武・二塁)、松田宣浩(ソフトバンク・三塁)、秋山翔吾(西武・中堅)、セ・リーグでは山田哲人(ヤクルト・二塁)、鳥谷敬(阪神・遊撃)、大島洋平(中日・中堅)の計6人。セ・パ野手の計96(=8×12)のポジションのうちの6.3%でしかない。全イニングの80%以上を基準にしてもセが20人、パが21人の計41人で42.7%に留まる。

 もちろん、固定されるだけの実力がある選手が、他ポジションの選手の故障や不振などで、複数のポジションを務める必要が生じたケースもある。しかし固定できるレベルの選手がそろえられず、複数の選手の入れ替わりで埋めているポジションを、どのチームも一定数抱えているのは確かだろう。

 であるならば、複数の選手をうまく併用し、結果につなげる起用方法は、チーム力の確保において重要であるはずだ。

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非固定で攻撃力を見せている守備位置(パ・リーグ)

 併用によって成果を出しているのはどのチームのどのポジションだろうか。そこで

(1)全イニングの70%を超えて出場した「固定選手」がいない。
(2)しかし、そのポジションの打撃成績(wOBA・注)が、ポジション平均の90%を上回っている。

 という条件を満たすポジションを、パ・リーグを対象に拾い出したのが最初の表だ。数字で示しているのは、そのポジションで最も起用された選手の出場割合となる。

 黄緑の地色が敷かれたポジションは、攻撃力が平均の110%に達しているポジションだ。ソフトバンクの指名打者(李大浩、長谷川勇也、内川聖一ら)、ロッテの指名打者(アルフレド・デスパイネ、根元俊一、井口資仁ら)と右翼(角中勝也、清田育宏)が、非固定ながら攻撃力を発揮している。

 黄色のポジションは攻撃力が平均レベル(90%~110%)だったことを意味する。目立つのはオリックスの内野か。遊撃手以外は流動的な起用をしてきたが、攻撃力は平均レベルに届いている。開幕直後は得点力不足に苦しんだが、やりくりを経て、中島裕之、小谷野栄一(一・三塁)、フランシスコ・カラバイヨ(一塁・指名打者)、西野真弘(二・三塁)などの新戦力によって、なんとか恰好はついてきているようだ。

 ただ、全体的に非固定・併用で固定選手に負けないだけの結果を出しているポジションはあまりないのもわかる。

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