交流戦が「混セ」を演出 なぜ伝統的にパ・リーグが強いのか

パが61勝44敗3分けと大きく勝ち越し、11年間で10度目の勝ち越し

 今年も「日本生命セ・パ交流戦」ではパ・リーグが強さを発揮した。ソフトバンクが最高勝率で、5位までをパが独占。ペナントレースで不調のオリックスだけが8勝10敗と負け越した。

 一方、セ・リーグは10勝8敗で終えた阪神が唯一の勝ち越し。現在、リーグ首位の巨人は5連敗を喫するなど7勝11敗と負け越し、交流戦に入るまで首位だったDeNAは3勝14敗と惨敗。引き分けを挟んで10連敗で日程を終え、ついに借金生活に突入した。セ・リーグのチームがどこも振るわなかったため、何とか2位にとどまっていることだけが救いだが、借金を抱えるチームがこの位置にいるという事実が、異常事態であることを表している。

 毎年、交流戦では結果が偏る。今年から、セ・パどちらかの本拠地で3試合ずつを戦う変則日程となり、総試合数は「108」に減ったが、パ・リーグが61勝44敗3分けと大きく勝ち越した。14日には、8年ぶりにパ・リーグの6チームが全勝するという出来事も。交流戦がスタートしてからの11年間でパ・リーグは実に10度目の勝ち越しとなった。

 なぜ、これほど顕著な結果が出るのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍してきた野球解説者の野口寿浩氏は、交流戦スタート当初に現役としてプレーしていた。当時は精神的な影響が大きかったことを振り返りながら、現在もセ・リーグ球団にはDH制の使い方などに問題点があると指摘する。

 交流戦が始まった2005年、野口氏は阪神でプレーしていた。「やっぱり、まだセ・リーグの方が知名度が高かったんですよね。あの頃には、明らかにパ・リーグの選手は『セ・リーグの選手を食って目立ってやろう』というのはありましたよね」と振り返る。

「特に、阪神とか巨人みたいにお客さんも多い、マスコミでも取り上げられる機会の多いチーム相手にいい試合をして、しかもやっつけてしまえば、自分たちが目立てる。そういうところはあったと思いますね。

 ミーティングで『今、この選手はそんなに調子よくない』と聞くんですけど、いざやってみると、そんなことない。ものすごい勢いなんですよ。どことやってもそうでしたね。オリックスあたりは、阪神とやると『関西ダービー』と煽るじゃないですか。それで食ってやろうみたいな感じを受けました」

 「人気のセ、実力のパ」――。そう呼ばれていた時代もあった。巨人、阪神を中心として、セ・リーグの試合は客席が埋まり、パ・リーグの球場には閑古鳥が鳴く。巨人戦が必ずテレビで全国中継されていたため、セ・リーグの選手の知名度は高い。しかし、オールスターや日本シリーズで対戦すると、パ・リーグが強さを見せる。

 野口氏は「それが交流戦に変わったんですよ」と言う。地域密着を掲げるパ・リーグの本拠地にファンが集まり、スター選手も次々と生まれてくるようになったのは、21世紀に入ってから。そんな流れが加速する中、交流戦は始まった。

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