松田、柳田がなぜ育つ? ソフトバンクに根付く「裏付けあるフルスイング」
「振れる力を蓄えた選手たちは、バットを長く持とうが短く持とうが関係ない」
ソフトバンクで育った打者には、強く振る技術がしっかり身についている。柳田のような選手が小さくまとまらない。豪快なフルスイングで球界に衝撃を与えている男は、ソフトバンクの育成方針を体現する選手と言えるだろう。野口氏は言う。
「同じ真ん中の球を打つにしても、強く打てる技術を持ってない選手が打ったら平凡なレフトフライかもしれないですけど、しっかり打てる選手たちが同じように打てば、場外まであるわけですよね。無闇やたらに振ればいいわけではなくて。あの柳田のフルスイングにしたって、しっかり技術の裏付けのある上でのフルスイングですから、数字が残るんですよ。
今は李大浩がいますけど、最悪何かがあって抜けたとしても、そんなに戦力ダウンにはならないでしょうね。穴を埋める選手がいますから。(強く打てる技術を)完全に自分のものにした選手たちが今、試合に出ている。調子が悪くなっても帰るところもあるし、どの選手も悪い期間が短くすんでいるのは、そういう指導の賜物だと思います」
開幕直後は決して好調とは言えなかった松田も、1日の西武戦で中田(日本ハム)と並ぶ21号本塁打を放ち、中村(西武)と1本差としている。ムードメーカーとしても重要な役割を果たす男が6番に座る打線は、まさに脅威だ。
「松田もバットをしっかり振れるところから入ってますよね。で、入団してきた時はあんなにバットを寝かせてなかった。大きく構えていたんです。それが、あの形に変えてからバットの出がスムーズになった」
野口氏は松田の進化をこう分析する。勝負どころではバットを短く持つこともあるが「あれだけ振れる力を蓄えた選手たちは、バットを長く持とうが短く持とうが関係ないんですよ」と指摘。ここにソフトバンク打線の凄みが凝縮されているというのだ。