松田、柳田がなぜ育つ? ソフトバンクに根付く「裏付けあるフルスイング」

テラス席の設置も追い風に、投手陣の層も厚く連覇へ「盤石」

「野村監督が三冠王を取った時は、ずっと短く持っていたらしいです。ヤクルト時代、野村さんはミーティングで『バットなんて短くもったって、しっかりとしたスイングすれば飛ぶんだよ。関係ないんだよ、そんなの』とおっしゃってました。王さんだって短く持っていましたからね。

 (打球を)180メートル飛ばそうと思ったら、長く持って遠心力を使ったほうがいいんでしょうけど、110メートルまで飛ばせば余裕でホームランなんです。102メートルでいいんです。これは本当に野村さんの受け売りなんですけど、『バッターが一番嫌がるのは、とんでもなくタイミングの狂った空振りと、あとはどん詰まり』だと。これが一番嫌なんです。

 短く持つと、どん詰まりがなくなるから、少し気持ちが楽になる。あと、少し呼び込んでコンパクトに振ろうという気持ちがあるから、とんでもなくタイミングを外された空振りの確率も減る。そういうのをソフトバンクの選手たちは身につけている感じがしますね。練習なり、そういう中で。試合をこなしていく中で(感覚を)つかんだ選手もいるかもしれない。中村だって短く持ってますよね。それで呉昇桓からホームラン打つんですから」

 そして、打撃のコツをしっかり掴んでいる選手たちは今季、追い風を受けている。ソフトバンクは開幕前、本拠地ヤフオクドームの外野フェンス前、左中間、右中間に新たな観戦スペースとなる「ホームランテラス」を設置。従来のスタンドから最大で約5メートル、スタンドが本塁に近くなり、5・8メートルだったフェンスも4・2メートルになった。

 単純にホームランになる確率が上がったことに加え、打者に精神面での余裕が生まれていると指摘する。

「それもあるでしょうね。東京ドームサイズになったんですよね。自分も東京ドームのサイズだとホッとしましたからね。今までのフェンス直撃だった打球が全部ホームランなわけですから。相手も同じ条件だと言いますけど、あれはホームアドバンテージですよ。

 去年までフェンスに着くか着かないかのところで捕られていた打球がホームラン。(外野手が)フェンスについても届かないことになる。打ち損じでフェンスギリギリまで行っていた当たりがホームランですから」

 圧倒的な力を誇るのは、打線だけではない。先発陣は全投手が万全な状態というわけではないが、野口氏は「今は摂津がリフレッシュしているところですよね。それが出来るメンバーですからね」と層の厚さに脱帽。ブルペンについても「Bチームがいるんですよね。しかも、Bチームが森とか二保ですよ。(ビハインドだと)彼らがいい働きして、(打線が)追い上げて、結局、Aチームが出てくるという感じですよね。JFK(ウィリアムズ、藤川、久保田)がいた時の阪神もそうでしたからね」と同じように絶賛する。

「盤石ですよ。トップにいなきゃいけないチームだと思います。逆に、それを追っている日本ハム、西武がよく頑張ってるんじゃないですか」

 ソフトバンクの戦力には目を見張るものがあると、野口氏は強調する。リーグ連覇に向け、死角はなくなりつつある。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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