史上空前の“混セ” 抜け出す球団はどこ?
ヤクルトには「上がり目しかない」、広島は「(打線は)うまく機能している」
これだけ打てない巨人というのも珍しい。なおさら投手陣の奮起が必要になってくるが、捕手出身の野口氏は阿部の一塁転向が響いていると見る。
「阿部がキャッチャーを出来ない以上、巨人に上がり目はないかなと思っているんです。相川も決して悪いキャッチャーではないんですけど、自分が操るピッチャーを完全に把握するのは、1年やそこらじゃ無理ですから。ピッチャーも探りながら(相川の)サインを覗いている感じだと思うので」
リーグ4連覇に向けて、解決しなければならない問題は多いと言えそうだ。
逆に、クライマックスシリーズに進出する可能性があるという3チームは、浮上する要素があるという。ヤクルトは、バレンティンの復帰が8月中旬にずれ込むとされ、ミレッジもいない状況で、ジリジリと順位を上げてきた。
「ヤクルトはこれからは上がり目の一方だと思いますよ。打線が飛車角抜きであれですから。あのメンバーでこれだけやっているのは大したものですし、さらに(バレンティンかミレッジの)1人が帰ってくれば大きい。館山が復帰して、石川もどこかで戻ってくるでしょうし。上がり目しかないんですよ」
野口氏はこう分析する。そして、序盤は低迷していた広島も、上昇気流に乗っている。現時点で、もっとも充実した戦いを見せているチームかもしれない。
「エルドレッドが戻ってきた途端に良くなりましたよね。エルドレッドが戻ってきたから、新井の負担が減って、さらに打ち始めた。そうすると乗っていくだろうと思っていた丸、菊池もやっぱり打ち始めた。(序盤戦は)新井がまず警戒されて、そこから次は丸・菊池が徹底的にマークされていた。でも、シアーホルツが入ってきて、エルドレッドが戻ってきて、マークが分散されたわけですよね。そうすると、(打線は)うまく機能してきますよ」
確かに、エルドレッドは勝負どころでの一発で勝利を呼び込むなど、存在感を見せている。元々、パワーは図抜けているだけに、右方向へのホームランが増え始めたら、相手チームにとっては間違いなく怖い存在だ。
「強引さが消えたら本当に嫌なバッターですからね。あの力があれば、どこに打っても入るんですから。そこに早く気がつくべきだったんですよね。ホームランを打つには、フェンスを1メートル超えればいいんです。そうすれば、どこでも入ってしまうわけですよ。エルドレッドの場合は、引っ張らきゃ飛ばないわけじゃない。それでバカバカ打っていたのが(横浜、中日で活躍した)タイロン・ウッズでした。エルドレッドもああいうバッティングが出来れば、何の問題もありません」
打線が機能し始めた今、唯一の不安材料はブルペン。ここさえクリアできれば、悲願のリーグ制覇の可能性も十分にあると、野口氏は見ている。
「ヒースがコケたのが一番痛いんですよね。彼をクローザーにすると言っていて、駄目だったから中崎になった。ただ、ザガースキーを抑えにしても面白いと思うんですけどね。先発は前田、ジョンソン、黒田、福井の4枚がしっかりした。これに加えて、去年のようにヒースを先発に戻しても面白いかもしれない」
先発から配置転換された大瀬良がブルペンで機能するようになれば、広島が抱える問題は大幅に改善されるかもしれない。