首位を射程に捉えた広島、あるか大逆転V、投打でカギ握る2選手の存在

リリーフ転向の大瀬良、試合中の笑顔が減ったのは…

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広島・大瀬良大地【写真:荒川祐史】

 そして、安定感を欠く投球が続いたヒース、故障上がりで今ひとつ調子が上がらない一岡竜司、中田廉など、総崩れ状態となったリリーフの立て直しに、白羽の矢が立ったのが昨年の新人王・大瀬良大地だ。2年目の今季は先発でさらなる飛躍が期待されたが、9試合で1勝6敗と結果が出なかった。

 好投すれば打線の援護がなく、打線が点を取れば大瀬良が打たれる悪循環に、首脳陣は大瀬良のリリーフ転向を決断した。緒方孝市監督は「チーム事情もある。将来エースとして回ってもらうために、ひとつの経験として」と、あくまでも期間限定を示唆しているが、ハマれば逆転優勝への切り札にもなりうる配置転換と言えそうだ。

 プロ入り以来、初のリリーフでのマウンドとなった6月10日の埼玉西武戦では、2イニングを投げて2失点。以後も3試合中2試合で失点するなど、結果が出なかったが、6月27日の中日戦では1点差の8回に登板し、無失点でプロ初ホールドを記録した。

 試合後、大瀬良は「接戦で抑えられてほっとしている」と笑顔を見せた。しかし、すぐに表情を引き締め「1試合1試合、1イニング1イニングが大事なポジション」と話し、「1球1球に対する考え方、気持ちの入れ方を大事にしながら、大胆さも忘れないように投げたい」と、リリーフに対する気構えを語った。

 畝龍実投手コーチが「ナインを気遣って試合中に笑顔を見せる時もあるが、それもいい時と悪い時がある。もっと闘志を前面に押し出すことがあってもいいのではないかと叱った」と話したように、リリーフ転向後の大瀬良は、試合中、ほとんど笑顔を見せなくなった。

 かつて大瀬良と同じ背番号14を背負った津田恒実も、普段は温厚な性格がマウンドに上がると別人のように変わったという。入団以来、何かと比較される伝説のストッパーに近づいた時、大瀬良はまたひとつ、新たな境地に達することになるはずだ。

 高い出塁率に長打力も兼ね備えたリードオフマン。さらにリーグ屈指の先発陣の後を継ぐ絶対的なリリーバー。投打のキーマンが機能すれば、カープ24年ぶりの悲願は現実に近づく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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