OP戦は5戦4敗 前評判高くなかった巨人マイコラスはなぜ這い上がれたのか
日本で勝ち始めた最も大きな要因とは…、マイコラス「僕一人では勝てなかった」
そして最も大きいのはアバウトに考えていたコントロールが緻密になったこと。マイコラスは「日本のバッターから三振を取ることがここまで難しいものだとは思わなかった」と明かす。
最初は力だけでも良かったが、2ストライク以降はファウルでカットされたり、見極められることが多かった。アメリカのバッターは割り切った考えを持つ打者が多いため、しつこく粘っていくよりも、球種を絞って狙い打ちする傾向にある。狙いと異なれば、見逃し三振でアウトになることも少なくない。日本ではそうはいかないため、最初から四隅にきっちりと投げるコントロールを意識した。
効果はあった。追い込んでからはもちろん、際どいコースに投げられるため、速いカウントで打ち取ることもできるようになり、1人4~5球以内で仕留め、打たせて取れることも簡単にできるようになった。球数の減少にもつながり、6月の2つの完封だけでなく、7回、8回まで投げ、きっちりと先発の役割を果たせるようにもなった。
「自分に自信がある」――。来日直後の自信満々の発言にウソはなかった。
ただ、自分が苦しんだことも素直に認めている。5月終わりまで勝ち星がつかなかった際、原監督からは「マイコラスはマイコラス以上にならなくてもいい」という言葉をかけられた。ブルペンとは違う投球を試合では見せていたからだった。
「僕は、自分を良く見せようと思う気持ちがどこかにあった」と反省した。「日本の監督、コーチは本当に自分の良い部分を出せるように、フォームだったり、メンタルを導いてくれる」と感謝している。何よりも「チームメートに感謝したい。僕一人では勝てなかった」と以前見られたような余計なプライドは消えていた。
防御率は現在2.46。後半戦すぐに規定投球回には到達するだろう。巨人の後半戦巻き返しにはエース菅野智之とマイコラスの2枚看板がキーマンとなりそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count