3強がハイレベルでしのぎ合うパ 前半戦の数字で振り返る各球団の戦いと後半戦展望
内容的にも強い3強
パ・リーグはセ・リーグとは対照的に、早い段階から3球団が強さを見せてきた。得失点差でもプラスの3球団とマイナスの3球団にはっきりと分かれている。
得点でも失点でもリーグをリードするソフトバンク、それに得点力でリードをつくっている日本ハムと西武が続く。
得点力をつくり出している要素は三者三様だ。出塁力、長打力ともにバランスよく高いのがソフトバンク。それを長打力では上回るが、出塁力でやや劣るのが西武。共に及ばないが両チームに30個以上の差をつけてリーグトップの85盗塁などで埋め合わせている日本ハムとなる。盗塁成功率もトップだ。
失点抑止では三振奪取と与四球の制御に優れているソフトバンクが抜けている。
得点が失点を上回り続けているソフトバンク
さらに細かく戦いぶりを精査するために、10試合目以降より、各試合を終えた時点での直近10試合ごとの平均得失点を算出し、その変動をグラフにする。得点をどう奪い、失点をどう喫しているかを可視化した。
○前半戦1位・ソフトバンク
平均失点を表す赤い線が、5月以降ずっと青い線の下で推移している。獲得した得点が喫した失点よりも大きい状況が続いていたことを意味し、堅調な戦いぶりだ。
ただ平均失点は平均前後を行き来しており、圧倒的なものではなかった。これは狭く本塁打の出やすくなった本拠地球場の影響もあるが、攝津正などいまひとつだった先発投手の調子も反映していると見られる。
温存状態にあったリック・バンデンハークや、先発も救援も務めてきた寺原隼人の踏ん張りで大幅に失点が増える事態は引き起こしていないが、先発投手の補充はそろそろ限界が見えてきた。失点抑止の安定感が失われれば、ここまでのような堅調な戦いは難しくなる。補強、配置転換、若手の抜擢などの準備が必要になる可能性もゼロではない。
得点力に伸びしろある日本ハム
○2位・日本ハム
貯金15という結果には強さを感じたが、得失点の推移を見ると、春先以外はかなり上下動が見られる。5月半ばより計3回平均失点が吹き上がっており、投手陣の出来に波があったことがうかがえる。それでも得点力は底堅く、1度目は10試合で4勝程度、2度目は打線の好調でカバーし6勝程度で切り抜けた。3度目はカバーしきれず貯金を減らしたが、トータルでは失点がかさむ状況でも試合をよく拾えていたようだ。
ここから、投手陣はパフォーマンス向上より現状維持が現実的な目標だろう。後半戦期待できる上積みは、陽岱鋼が復帰したセンターとDHの攻撃力向上による得点力アップか。今季は打撃ではいまひとつの大谷翔平だが、打棒復活が日本ハムの順位を左右する可能性もある。