ドラフト競合選手は活躍している? 過去5年間の目玉選手たちを振り返る

2013年は1試合22奪三振のドクターKに5球団が競合、今季は配置転換で大活躍

○松井裕樹投手(桐光学園高-楽天 日本ハム・DeNA・ソフトバンク・中日・楽天の5球団が競合)

 高校2年時の夏の甲子園では大会史上最多の10連続奪三振と1試合22奪三振を記録した左腕は、楽天が引き当てた。

 1年目の昨季は先発中心で起用され4勝8敗と負けが先行。2年目の今季はストッパーに指名されると、防御率0.87で33セーブを挙げる活躍で一気に守護神の地位を確立した。

 十分にその実力を見せ付けた左腕。このまま抑えとして起用していくのか、あるいは先発として成長させるのか。来季以降の起用法にも注目が集まっている。

○大瀬良大地投手(九州共立大-広島 ヤクルト・広島・阪神の3球団が競合)

 長崎日大高時代は甲子園で活躍しながらもプロ志望届は提出せず。新垣渚や馬原孝浩らを輩出した地元九州の大学への進学を選んだ。

 そして昨季広島に入団した右腕は、開幕からローテーション入りを果たすと、3完投を含む10勝8敗と結果を残した。

 今季は4月、5月は先発としてローテを守っていたが、6月3日まで1勝6敗と勝ち星が付いて来なかった。6月10日からリリーフに転向すると、セットアッパーとして地位を確立。20ホールドをマークし、CS争いに最後まで貢献した。

 守護神候補だったヒースが不振など、チーム事情によって配置転換を余儀なくされた2年目右腕。松井同様、来季以降の起用法にも注目だ。

○石川歩投手(東京ガス-ロッテ ロッテ・巨人の2球団が競合)

 ここ5年で唯一、社会人選手で競合が起こったのが石川歩投手だ。

 中部大学時代にもプロから注目されたが、志望届は出さず。東京ガスに入社すると、東アジア競技大会の日本代表に選ばれ、長身、長い腕から繰り出される150キロに迫るストレートを武器にクローザーを任された。

 ロッテに入団すると1年目から10勝(8敗)を挙げて新人王に輝き、今季も12勝(12敗)を挙げて先発投手陣の柱の一人としてチームを支えた。 

○有原航平投手(早大-日本ハム DeNA・広島・日本ハム・阪神の4球団が競合)

 昨年のドラフトの目玉となったのは有原航平投手だった。

 早大のエースとして活躍し、4球団が競合。今季は5月15日のオリックス戦に初先発すると、6回2失点でプロ初勝利。9月5日のオリックス戦では無四球完封勝利を挙げている。終わってみればチーム4位の103回1/3を投げ、8勝を挙げた。

 しかし、防御率は4.79。アマチュアNo.1右腕という呼び声も高かった右腕だけに期待値からするとその成績が十分だったとは言えないだろう。来季は今季以上の安定した活躍が望まれる。

○安楽智大投手(済美高-楽天 ヤクルト・楽天の2球団が競合)

 高校生No.1右腕として評価されていたのが安楽智大投手だ。

 2球団が競合した右腕は今季は終盤に1軍に上がると、10月5日にプロ初登板初先発で6回無失点と好投し、初勝利を挙げた。

 ファームでは19試合に投げて4勝1敗。防御率2.57の成績を残しているだけに、来季は1軍ローテ入りも視野に捉えている。

 こうやって見てきた中でも、必ずしも多くの球団が競合する選手が入団してすぐに大活躍をするわけではない。しかし、藤浪晋太郎や松井裕樹ら、競合というリスクを犯しながらも獲得する価値があったと思わせる成績を残す選手も存在することは確かだ。

 阪神のように、絶対的エースを競合の末に獲得した球団もいれば、日本ハムのように菅野、大谷と交渉が決裂するリスクを負いながら指名を行う球団もある。5年連続で最初の指名選手の競合に敗れているDeNAのような不運な球団も生まれている。

 運命の22日、ドラフトの女神が微笑むのはどの球団だろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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