【小島啓民の目】圧倒的強さ見せたホークス アマ選手に伝えたい工藤監督、捕手の冷静さ
アマチュア選手にも非常に参考になるリード
その中で、高谷は見逃しを取るのではなく、「いかにバットを振らせるか」をテーマに配球を組み立てていたような印象を受けました。打者が打ち気満々の状況ではフォークを振らせ、フォークと予想されるカウントでは速い高めのストレートを使い、打者の読みを外すリードをしていました。
「捕手は、投手を信頼しろ」とよく言われますが、投手は、捕手の期待をよく裏切るものです。特にアマチュアレベルの技量では、捕手が構えたところにボールが来ないなどは日常茶飯事です。したがって、キャッチャーが理想とする配球などは、なかなか難しいということがよく分かりますね。
裏切られることの多い捕手ですが、責任は自分にも多く降りかかってきます。ジュニア期から社会人のアマチームのキャッチャーの方に心がけてもらいたいことがあります。コントロールが安定しない投手が大事な場面でリリーフ登板した時、ボール球を要求する場面では、絶対にストライクゾーンに来ないところにはっきりと構えること。または、ボールになる確率の高い球種を投げさせることをしてください。簡単なことかもしれませんが、冷静になっていないと忘れることがあります。
今回の高谷のリードは打者心理を巧みに読み取ったリードで、投手の熱くなっている心理とは裏腹に、投手のコントロールを当てにしないという冷静なものでした。アマチュア選手にも非常に参考になるリードのシーンであったと思います。
燃えるような闘志の中でも、頭は冷静に。攻めることも大事ですが、大舞台になればなるほど、冷静さも必要な条件。大舞台で活躍する条件となるのでしょうか。必死さが伝わるクライマックスシリーズ、非常に勉強になります。
【了】
小島啓民●文 text by Hirotami Kojima