DeNA捕手陣は「猛特訓が必要」 今年の各球団捕手を振り返る【セ・リーグ編】
唯一輝いたのは14年ぶりV導いたあの捕手「『よう頑張ったなあ』っていうのは中村しかいない」
球界歴代最多試合出場「3021」を記録した谷繁元信捕手(中日)が、今季限りで現役を引退した。通算打率2割8分5厘、361本塁打と、2000年以降で最高の”打てるキャッチャー”だった阿部慎之助捕手(巨人)も開幕前に一塁にコンバートされ、チーム事情で先発マスクを被る時期はあったものの、捕手としての出場は激減。現在、球界に大物捕手と呼べる選手は、存在しなくなっている。
ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏は、今季のセ・リーグ球団の捕手事情を振り返り、まずは「『よう頑張ったなあ』っていうのは中村悠平しかいないですよね」と、ヤクルトを14年ぶりのリーグ制覇に導いた25歳を評価した。
「試合に出ている時の落ち着きが出てきましたよね。どっしり構えて野球ができるようになった。それがまず一番大きなところだと思います。『このピッチャーを何とかしてあげたい、チームを何とかして勝たせたい』。そういう気持ちが前面に出てくるようになりました。そういうのはやっぱり投げている方も感じると思うので、そういうところからバッテリーの信頼関係って生まれますから」
野口氏がシーズン中に本人と話しても、疲れを感じさせるような言葉を発することはなかったという。ただ、「口では『元気です』なんて言っても、絶対にしんどいはずなんですよ。キャッチャーでワンシーズンあれだけやれば絶対しんどいんです」とシーズンを通して試合に出場した心中を察する。
「それでも気持ちの部分が前に出るから、体の疲れも吹っ飛ぶじゃないですか。それよりも優先してやることがある。それはすごくいいことだと思います」
今季はベストナインを受賞するなど、セ・リーグを代表する捕手に駆け上がった燕の女房役にとって、充実のシーズンとなったことは間違いない。
2位に終わった巨人に関しては、野口氏は「もうちょっと相川が怪我せずに1軍にずっといられれば、(チーム成績も)変わったかもしれないです。ただ、小林にとってはよかったですよね。経験を積めたので」と総括する。「自分でのし上がったというわけではないとはいえ、いい経験をさせてもらっていると思います。来年以降の糧にしてほしいですね。これで来年もダメだったら『去年の経験はなんだったんだ』となってしまうので」と、次世代の正捕手候補である26歳にとって貴重なシーズンになったとの見方を示した。
一方で、「配球面で『なんでここでこれ?』っていうのが目立ちました。ジャイアンツというチームにいれば余計に目立つので。そういうところもしっかりと肝に銘じてやらないとっていうことですよね」と課題も指摘する。
「由伸監督がどれだけ考えているか分からないですけど、小林に一本立ちしてほしいっていうのは一番だと思います。(優勝が求められるチームだけに)勝ちながらになるのですが、監督1年目だから、多少許される部分もあると思います。かといって好き放題やっていたら『何やってるんだ』ってなってしまいますけどね」
捕手として一本立ちさせるには、首脳陣がどれだけ出場機会を与えることができるかも影響すると指摘。ルーキーイヤーは打率2割2分5厘に終わった阿部を使い続けた長嶋茂雄終身名誉監督のように、本当に正捕手を育てたい場合、目先の結果だけではなく長期的な視点を持っての起用も必要になりそうだ。