DeNA捕手陣は「猛特訓が必要」 今年の各球団捕手を振り返る【セ・リーグ編】
DeNAの3人は「何をやらせても厳しかった」、根本的な捕手基礎力が大前提に
5位に沈んだ中日については、野口氏は「杉山くんとか、桂くんとか、すごくいい経験をしましたね」と2人の若手捕手にとって貴重な1年になったと考察する。
「チームとしての成績は出せませんでしたが、谷繁監督が辞める踏ん切りをつけるくらいまではいけたということですから。(試合が)ぐちゃぐちゃになって『俺が試合に出ていくしかないな』ということもなくなってきたかなという気がしたと思うので。逆にいうと、ぐちゃぐちゃになっても『お前らで責任とれ』と言っているのかもしれませんけどね」
歴代最多の3021試合出場を記録した名捕手の現役引退により、来季は杉山、桂、そして松井ら若手捕手にとって勝負のシーズンとなる。「3人で誰かが勝ち上がって、自信を持って試合に出れるようになれれば、もう少し良い争いがチーム的にできるようになってくると思う」。野口氏は正捕手争いの激化に期待を込めた。
最下位に終わったDeNAは今季、嶺井が74試合で最多出場。続いて高城の64試合で、黒羽根は63試合のみの出場に終わった。この3人の正捕手争いには「申し訳ないですけど、今年は何をやらせても、あの3人は厳しかったですよ」と苦言を呈した。
さらに、野口氏は「今の3人のレベルを見たときに、他の11球団に行ったら、もしかしたら1軍にいられないかもしれない。はっきり言って、2番手、3番手にもなれないくらいのキャッチャーだと思っておくべきだと思います」と、あえて厳しい言葉を並べた。
今季、DeNAのチーム暴投数は12球団最多の「68」。記録上は投手にとって不名誉な記録となるが、ワンバウンドを止められないという捕手陣の課題にも直結する数字だ。
「誰を使うべきとかいう問題ではなく、3人とも猛特訓が必要ですよね。今もやっているでしょうけど、ここから春のキャンプ、オープン戦、ここまでの期間で猛特訓させなきゃダメなんです。それで誰かが出てきてくれれば、というくらい。
今までは誰かを使うという前提で『調整』させていたような感じですよね。『調整』じゃないですよ、もう、『(練習を)やれ』と。あれだけワンバウンドを止められなかったら『1日1000本、2000本(の捕球練習を)毎日やれ』と。そうじゃないと上手くならない。バッテリーコーチも分かっていると思いますけど、これをやらせなかったら、来年も同じことになりますよ」
本来、捕手というポジションは「試合経験を積ませて…」と考えがちだが、DeNAの3人に関して野口氏は「経験を積む以前の話だから。(実力を)つけてからですよ」とばっさりと斬った。「長所を伸ばすとか、短所を鍛えるとかあると思うんですけど、そう言っている場合じゃないんです。全てのレベルを上げていかなければいけない3人なんですよ」と、捕手としての基礎的な力をつけることが最重要課題と指摘した。
今季、最も輝いた中村悠平も含めて、発展途上の選手たちがほとんどを占めるのがセ・リーグにおける捕手の現状だ。基礎的な能力は大前提の上で、十分な実戦経験が必要なポジションであることはいうまでもない。将来の正捕手を育てるために我慢の起用をするか、あるいは手堅くベテラン捕手をメインに置くかーー。来季も各球団の戦略が見ものとなりそうだ。
フルカウント編集部●文 text by Full-Count