全球団でスペイン語通訳常駐へ―MLB通訳事情、あの川崎も「つけた方がいい」

中南米選手への期待の変化? MLBで新制度導入へ

 日本人メジャーリーガーにはおなじみの通訳だが、今季2016シーズンから全30球団にスペイン語の通訳を2人常駐させることが、メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会により通達されたという。この新制度導入の背景には、中南米出身選手に対する期待の変化がある。

 以前から、日本や韓国、台湾出身の選手には通訳がつくのに、なぜスペイン語を母国語とする中南米出身選手には通訳がいないのか、という議論はあった。1つの理由は、どのチームにも必ず中南米出身のコーチや選手が複数人いて、ミーティングや取材など必要に応じて通訳の役割を果たしていたからだ。

 例えば、昨季ワールドシリーズ王者のロイヤルズの場合、通訳が必要な場合には、かつて宣教活動でスペインで生活したことのあるベテラン投手ガスリー、アメリカ合衆国の領地プエルトリコ出身でカリフォルニア州立大出身の控え内野手コロンが借り出される。同時に、マイナーリーグからメジャーまではい上がってくる過程で、意思疎通に十分な英語を身につける選手が大半で、球団がそれを期待してることも事実だ。

「国際化」を標榜するメジャーでは、近年はアジア出身の球団スタッフがいることも珍しくなくなったが、アジア出身選手の場合、同じチームに同じ言語を話す人物がほとんどいない。2015年開幕時のメジャーロースター(故障者リストも含む)全868人のうち、スペイン語を母国語とする選手は193人で全体の約22パーセント、米50州以外の出身選手(合計230人)では実に83パーセントに達する一大勢力だ。それに比べ、日本は9人、韓国は3人、台湾は1人と圧倒的に少ない。日本球界を経験した選手が話し掛けてくれることはあっても通訳まではできない。

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