好投手が相次いで敗れた春の甲子園 攻略の裏にあった準備&戦略とは?
選抜王者の敦賀気比を破った海星、徹底した戦略は
序盤、高田はほとんどストレートを投げていた。球種が絞れていた分、相手に球数を投げさせることに成功。9回175球も投げさせた。それだけ投げながら4回以降、無失点に抑えた高田の投球術も光るが、高松商のエース・浦大輝の力投の方が上回った。
第3試合では昨年のセンバツ王者の敦賀気比(福井)が1-2で海星(長崎)に惜敗。連覇の夢が途絶えた。
プロ注目の山崎颯一郎は9回2失点だったが、9安打された。海星打線は練習で打撃投手を前に出して速球を対策したが、それ以上のことはしていない。長身から投げ下ろすストレートを打ち返すだけの自信と力がなかったため、狙いの目線を下げた。高めのストレートには一切、手を出さずに、真ん中から低めのコースと、打たせにきた変化球を逃さずに狙うことを徹底。初回、5回と少ないチャンスをものにした。
限られたチャンスを生かすことは非常に難しい。それができたことが勝利につながった。この試合も打撃だけでなく、初回から5回を投げた海星先発の春田剛志、6回から最終回までを本塁打の1点でしのいだ土谷一志の必死のリレーも大きな要因になった。
ベスト8に進出した明石商、木更津総合、高松商、海星は投手たちの力投も光ったが、大会屈指の好投手に勝つための準備と戦略を徹底していた。強豪チームに競り勝つには何が必要なのかを改めて実感させられる対決だった。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count